277.苦境
俺は神鎚をふるい、空気で板を作る。
そしてそれを七福塵の上空に出現させ、一気に押しつぶす。
ぐしゃり!
凄まじい空気の圧が七福塵を圧死させる……が。
飛び散った破片から七福塵が再生して見せた。
「なんつー再生力」
「職人ならこれくらいできないとなあ!」
「できねえっつーの!」
七福塵は体を再生させた後、俺の方へめがけて走ってくる。
その手には呪いのこもった槍が握られてる。
「【串刺公】!」
手に持った呪具をこちらに向かって投げてくる。
回避……いや、駄目だな。
回避不可の槍だ。これを避けても延々おいかけてくるのがわかる。
だったら……。
俺は立ち止まり、攻撃を受ける。
ザシュッ……!
俺の【心臓】に槍が突き刺さり、呪いが解除される。
かつん! と俺は神鎚で槍を叩く。
瞬間、槍はボロボロと崩れ落ちる。
俺は無傷だ。
「ははは! なるほど! 心臓を潰される前に、体内に第二の心臓を作ったのだな!」
俺の新スキルならば、イメージできるものなら何でも作れる。
心臓作るくらいわけないのだ。
「バケモノが!」
「お互い様だな!」
呪物を手に、やつは戦う。
神鎚を用いて、俺は応戦。
俺がいくら破壊しようとやつは再生してくるし、その逆もまたしかりだ。
壊し、治し、壊す……。
その繰り返しのなか、俺は理解する。理解……してしまう。
こいつは戦いを通して、俺を人間から遠ざけようしてると。
「どうした! 考えながらじゃ死んでしまうぞ! 【断頭台】!」
俺の頭上に巨大な断頭台が出現する。
これも回避不可能の呪いがかかった呪物だろう。
俺の体が拘束される。
そして……刃が落ちてくる。
頭が落ちるその一瞬で、頭部が再生する。
ああ、そうか、やっぱりそうだ。
俺は人間離れをおこしていた。
普通、心臓を串刺しにされたり、頭を落としたら、死ぬものだ。
でも……俺は死なない。死ねない。できるというイメージが全て、具現化されてしまうから。
やつの狙いは、こうして戦うことで、俺から人間性を奪うこと。
戦いを挑んだ時点で俺は敗北をしていたわけだ。
このまま戦闘を続けていても、無意味だ。
でも、戦闘を辞めることはできない。やつを倒さないと、もっと被害は拡大してしまうし。
どうするか……と思ったそのときだ。
「ヴィル様~~~~~~~~~~~~~~~!」
火山の天井が砕け散って……ポロが降りてきたのだ。
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