244.イリス、強襲
俺とロクサーヌちゃんは各地を回り、虐げられてる魔族たちを助けていった。
そして……。
魔族国ケラヴノスティアの南東部を歩いてるときのことだった。
「あれ?」
「どうしたのですか?」
「いや、イリスの気配がする」
「! 地の勇者殿ですかっ?」
「ああ。なんかこっちに近づいてくるな。しかも、結構な速度で」
俺は作った物の位置を感知する力がある。
地の勇者イリス、そして聖剣アース・シェルの気配がどんどんと近づいてくるのがわかった。
が、ううーん……。
「どうしたのです?」
「なーんか、妙な感じがするんだよなぁ。アース・シェル……なんか不調抱えてるのかも」
ロクサーヌちゃんが首をかしげている。
職人じゃ無いとわからないか、この感覚。
ま、本人にあえばわかるっしょ。
と、そのときだった。
ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
地面が爆発し、そこから……一人の女の子が姿を現す。
蜂蜜色の髪の毛に、真っ白な肌。そして、とがったエルフ耳。
「あれが……イリス殿?」
「そう。で、両腕に装着してるのが、地の聖剣アース・シェル」
爆発とともに現れた地の勇者。
だが……。
「ふぅー! ふぅー! コロス……! コロス……!」
あらま、イリス、なんか様子がおかしい?
しかもアース・シェルから黒い煙がたちのぼっている。
! あれは……呪物の気配!?
まさか……。
「聖剣が、呪物化されてるのか!?」
ちくしょう……! 聖剣になんつー、余計なことしてくれるんだ!
聖剣は神器!
それだけで完成してるっていうのに! 手を付けなくても、完璧な存在なのに!
まあいい。
とにかく、今は聖剣を元に戻すことが先決だ。
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