229.復活
風の勇者ミリスを助けた。
「で、おまえウィンド・クローどうしたんだよ?」
彼女の持つ風聖剣ウィンド・クローの姿がさっきから見えなかった。
「クローは……」
じわ……と涙を浮かべるミリス。
それだけで、何か悲しいことがあったのがわかる。
「ごめん……壊しちゃった」
「壊した?」
妙な言い方だ。
壊れた、ではなく、壊した、と。
「ぼくの全力に、クローがついてこれなくて……でも、魔族を助けるために、クローがやれって……だから……」
なるほどな……。
ミリスの力にクローが追いつかなかったと。
「クローの破片はあるか?」
「え? う、うん……もちろん……ま、まさか……? 兄貴? まさか……?」
「おうよ。貸してごらん」
どうやらミリスはメンテしかできないと思っているようだ。
そりゃ、八宝斎を舐めすぎだ。
ミリスはうなずくと、腰につけてる袋を俺に渡す。
中には聖剣の破片が入っていた。
「ごめんね兄貴……メンテしてくれた聖剣こわしちゃって……」
「形あるモノいずれ壊れる。クローも、嫌がってなかったんだろ?」
「うん……」
「なら、本望だったろうよ」
さて。
だとしてもこれでおわりなんてしたくない。
俺はスキルを発動する。
「俺の最大スキル……【天目一個神】発動!」
俺の作る全てが、神器になるという、凄まじいスキルだ。
スキルを発動すると同時に、特別な炉が出現する。
炉の中に、俺は聖剣の破片をつっこむ。 そして、ハンマーで……撃つ!
今のミリスが、十分な力を発揮できるように、改良を加えて……。
すると空中に新しい神器が生成される。
翡翠色をした、籠手だ。
その先には爪がついてる。
「クロー!」
ミリスは新しく生成されたクローを胸に抱き、ぎゅっと抱きしめる。
『せ、拙者は一体……?』
「よかった! 目ぇ覚ましたんだね!?」
『ミリス殿!? 拙者は死んだはずでは……?』
「兄貴が直してくれたの!」
『なんと! 八宝斎殿が!』
二人が俺を見て感謝の言葉を贈る。
「ありがとう、兄貴!」
『八宝斎殿、ありがとうございます!』
なんのなんの。
笑顔が戻ってホントに良かったよ。
【★おしらせ】
コミカライズスタートしました!
がうがうで連載中です!
よろしくお願いします!
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