218.ドエム・オシオキスキー
ポロが決意を固める一方。
魔族国のとある場所にて。
そこはかつて魔王城と呼ばれた場所。
玉座に腰を下ろすのは、はげ太った、醜悪な見た目の魔族、ドエム・オシオキスキー。
「でゅふふ……ほら奴隷ども、わしを気持ちよくせんかぁ……ほれほれぇ……」
彼の周りには複数人の、美人な奴隷たちがいる。
種族は様々だが、全員が女だ。そして首には奴隷であることを示す、奴隷の首輪がはめられている。
奴隷達はドエムの肩をもみ、酒をつぎ、そして性的なご奉仕をする。
ドエムは玉座にふんぞり返りながら、美女達からもたらされる快楽に身を委ね、気色の悪い笑みを浮かべる。
「んんぅ……? おい貴様」
肩をもませていた奴隷に、ドエムが尋ねる。
「は、はい……」
奴隷の顔が恐怖で真っ青になる。
「おまえ……わしを気持ち悪いって思ったな?」
「そ、そんなことは決して……!」
「そうかぁ……その言葉に嘘はないなぁ?」
「は、はい! 嘘はない……う……ぐっ!」
突如として、女奴隷が苦しみ出す。
喉をかきむしるような仕草をしたと思うと、その場に崩れ落ちた。
「やはり嘘か……ふん……おい誰かそいつを片付けるがいい」
「は、はい!」
ドエムの持つ恐ろしい能力により、あっさりと人が死んだ。
奴隷達はみな体を震わせ、けれど、彼を不愉快にさせないよう、必死になってご奉仕する。
そのときである。
「ドエム」
「おお! これはこれは、フェイ様!」
ドエムの前に現れたのは、七福塵の作品のひとつ、フェイ。
中性的な顔、体つきをしてるため、性別が判然としないが、美形である。
「遠いところご足労いただきありがとうござます! おい誰か! フェイ様にお茶を」
「いや、必要ない。七福塵様のメッセージを伝えに来た」
「そうでございますか。して、どのような内容でしょう?」
フェイはうなずいて言う。
「この国にヴィルという男が来る。その男を抹殺せよ」
「ヴィル……? 聞いたことがありませぬな」
「聖剣のメンテを行う職人だ」
「ほぅ! ほうほう、ああなるほど。あいわかりました。わしがヴィルを葬り去ってごらんにいれましょう」
フェイはメッセージだけを伝えると、さっさと帰っていた。
ドエムは「ふん……」と鼻を鳴らす。
「二本の聖剣を持つわしが、なにゆえ他人にへーこらしないといけないのだ。ふん……まあ今に見てろ。わしの計画が上手くいけば、この世界のすべてはわしにひれ伏すだろう……ぶひ、ぶひひひひ!」




