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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
三章

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217.方針



《ヴィルSide》


 馬車に乗って魔族国へとやってきた俺たち。

 国内では内戦が起きてるらしい。


 でも俺たちが居る場所は、そんなに戦闘が行われてる感じはなかった。


「なんでだい、ロクサーヌちゃん?」


 馬車の中、正面に居座る魔族ロクサーヌちゃんに尋ねる。


「ここは国の外れじゃからな。人がおらぬのじゃ」


 ロクサーヌちゃんが地図を取り出す。

 魔族国の領土は結構広いようだ。


 形は【へ】の字をしてる。

 俺たちはこの【へ】の南東部分、つまり端も端の場所にいるんだってさ。


「国に入ったけどこっからどうするんだい?」

「まずは、わしの仲間と合流するため、北西へ向かう」


【へ】のこの頂点部分を目指すとのこと。

「壊れた国を立て直すために、ヴィル様を呼んだのはわかります。でも、そこからどうするのですか? 内戦状態なのですよね?」


 ポロの質問に対して、ロクサーヌちゃんがうつむき加減に言う。


「……わからぬ」

「わからないって……」

「今のこの内戦は、現国王の態勢に不満を覚えたものたちによって引き起こされたもの。クーデターが収まらぬ限りこの戦争は続く……。じゃが……どうすれば収まるか皆目見当もつかぬ」


 ……ふぅむ。

 でも、まあ簡単なようには思えるけどな。


「そのクーデターの首謀者をとっつかまえりゃいいんじゃね?」

「む、無理じゃ……!」

「そりゃどうして?」

「…………」


 ロクサーヌちゃんが口ごもる。


「そこまで……していただく、義理はないじゃろう?」

「ロクサーヌ様」


 ポロがロクサーヌの手を取る。


「辛いことがあるなら、申し出てください。ヴィル様はとても凄い力を持った、慈悲の深いおかたです。頼めば、力になってくださいます」

 

 そのとおりだ。

 俺は八宝斎はっぽうさいとして、道具を作り、そして皆を笑顔にする義務がある。


 ロクサーヌちゃんは明らかに暗い顔をしてる。

 なにか辛いことを抱えている。おれはそれをどうにかしてやりたい、と思う。


「……ありがとう。……ヴィル殿」

「おうよ、話してごらん? なにがあった? どうして敵の首謀者を倒せない?」


 すると、ロクサーヌちゃんはこんなことを言う。


「敵は、聖剣を持っているのじゃ。それも……二つも」


 ! 聖剣を、二つ持ってる……?

 ってことは、地と風の聖剣だろうか。他の持ち主たちは、つい最近見ていたし……。


「じゃあ、地と風の勇者様が、敵に着いてるってことですか?」


 ポロの問いかけに、ロクサーヌちゃんが首を振る。


「勇者様たちは無関係じゃ。彼女らから聖剣を奪い、その力を悪用している。それが此度のクーデターの首謀者なのじゃ」


 ……なるほどな。

 聖剣の力を二つ持っているんだ。その強い力を持って、魔族を支配することくらい容易いだろう。


 ……しかし、心配だ。

 あの双子勇者が、今どうしてるのか気になる……。


「勇者たちはどこに?」

「聖剣を奪われ、どこかに幽閉されておる」

「なるほど……じゃ、やることは決まったな」


 まず勇者を回収。

 その後、ロクサーヌちゃんの仲間と合流。


 しかる後、クーデターの首謀者をぶったおし、聖剣を回収する。

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