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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
三章

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209/283

209.八宝斎の町作り



 旅の途中で、魔族の女の子と出会った。

 俺はその子の話を聞いてみることにした。



「お茶でもしながら話そっか。(ボックス)


 目の前に小さな黒い、■のような箱が出現する。

 蓋をあけると、そこから簀巻きにされた敷物が出てきた。


「な、なんなのだっ? それはっ!」

「この敷物は俺の作った魔道具で……」

「そうではない! その黒い箱じゃ!」


 ああ、(ボックス)のこといってるのか。


(ボックス)だ」

「だからそれは何なのだっ!?」

(ボックス)だな」

「話が通じないのじゃー!」


 まあまあ、となだめて、俺は敷物を広げる。


「ささ、どうぞお座りよ」


 俺たちが敷物に乗った……

 次の瞬間……。


 ぷかぷか……。


「う、浮いてる!? 浮いておるじゃとぉお!?」


 敷物は飛翔し、上空へとやってきた。


「なんじゃこれは!?」

「空飛ぶ絨毯」

「だからなんじゃそれは!?」

「空を飛ぶ絨毯」

「説明になってないのじゃーーーーー!」


 ややあって。


「思った以上に、すごい職人じゃったか……八宝斎はっぽうさい殿はすごいの……」

「あんたも八宝斎はっぽうさいしってるんだな。ええと……君は……」

「失礼した、八宝斎はっぽうさい殿……。わらわはロクサーヌと申す」

「ロクサーヌちゃんね。よろしく。俺はヴィル。この子はポロ」


 ロクサーヌは紫紺の髪の毛を、ツインテールにしている、ろりっこだ。

 頭にティアラが乗ってることから、王族なのがわかる。


「ロクサーヌちゃん。さっき魔王がどうとか言ってたけど、魔王って……あの魔王? 魔族を率いて人間たちを襲っていたという?」


 おとぎ話とかでよく聞くあれかな。

 しかしロクサーヌちゃんはぷるぷると首を振る。


「それはもう、随分と昔のことじゃ。今で言う魔王とは、魔族国ケラヴノスティアに暮らす、魔族たちの王、という意味じゃ」

「魔族国……魔族国……ええと」


 俺は(ボックス)から世界地図を取り出す。

 ゲータ・ニィガ王国から北へ行き、奈落の森(アビス・ウッド)っていうデカい森を越えた先にある、広い国か。


「昔は魔王たちが、豊かな大地をもとめて戦争をふっかけたのじゃ。じゃが、聖剣の勇者達に敗れ、魔族たちは以後、人間を襲わない方策をとっていたんじゃが……」


 過去形なのがひっかかるな。


「内乱が起きての」

「ほーん……内乱」

「うむ。人間を滅ぼし大地を奪うべきだ、という過激派の連中がクーデターを起こしてな」


 あらまあ……。

 それは怖いなぁー


「わらわや父たち、穏健派を城から追放し、魔王城、そして王都を占拠してしまったのじゃ……」


 なるほど……

 だんだんと話が見えてきたぞ。


 魔族には穏健派と過激派に別れてる。

 過激派が元々あった魔王城を占拠してしまった。


 追い出された穏健派の人たちが住むための城……魔王城を新たに作って欲しい、と。


「別にいいけど場所はどうするんだ? 魔族国に城建てたら直ぐに、過激派の連中に壊されちまうんじゃない?」

「うむ……だから土地を選ばねばいかんのじゃが……当てがなくてな……」


 うん?

 そうかな。


奈落の森(アビス・ウッド)に城をおっ立てればよくない? 確かあそこって、王国の領土じゃあないだろ?」

「う、うむ……し、しかし……奈落の森(アビス・ウッド)は魔物がうろついてて危険じゃ。それに木々が密集して生い茂っており、建設なんてとても……」

「大丈夫だって。俺に任せな」


 開拓も、建築も、大得意である。


「よ、よろしいのですか、八宝斎はっぽうさい殿……?」

「ああ。つーか城だけじゃなくて、穏健派たちが住めるよう、町を作ってあげるよ」

「!!!!! なんと……町を……?」

「おうよ。穏健派の人たちみんなが住めるような、でっかい町を作るさ」


 ぐす……とロクサーヌは涙を流すと、俺の前でひざまづいて、頭を下げる。


「ありがとうございます、八宝斎はっぽうさい殿!」

「いいっていいって。てゆーか俺が作りたいだけだしな」


 こうして、俺は魔族の姫、ロクサーヌの依頼で、新しい魔族たちの町を作ることになったのだった。


 


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