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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
三章

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208/283

208.新しい依頼



 俺の名前はヴィル・クラフト。

 どこにでもいる一般的な鍛冶師だ。


 八宝斎はっぽうさいという著名な職人だったじーさんから、その役割と神鎚ミョルニルを受け継いだ俺は、鍛冶師として王都で働いていた。


 しかしある日弟に婚約者と店を奪われ、追放されてしまう。

 全てのしがらみから解放された俺は、自由に物作りライフを送ることにする。


 前回は南の島で炎の勇者ヨウが持つ聖剣が、ウィニーちゃんっていう悪いやつに奪われる事件に遭遇。

 俺と六聖剣の勇者達と協力し、見事に敵を倒して見せたのだった……。


 さて。

 島を出た俺は、南の国フォティヤトゥヤァを出て、大陸へと戻った。

 馬車に乗ってのんびりと旅をする……。

「ヴィル様」

「ん? どうしたーポロ?」


 俺の隣を歩く、ケモミミ美少女はポロといって、俺が助けた獣人の女の子だ。

 現在、彼女は闇の聖剣 夜空と、光の聖剣ルクスの所有者……。


 つまり、勇者なのである。


「どうして歩きなのでしょうか? ヴィル様はどんな乗り物でも作れましょうに」


 確かに竜車をはじめとした、あらゆる物を俺は作れる。

 俺の右手……黄金の手を使えばな。


「たまには歩いて旅するのもいいだろう。馬車に乗ってるときには、気づけない発見もあるしな」


 俺はしゃがみ込んで、道ばたに咲く花を見つめる。

 こういう、何気ないものから、新しいものづくりのアイディが浮かんだりするのだ。


「乗り物や竜車は(ボックス)に入ってるから、ま、疲れたらまたそれに乗って旅すれば良い」

「なるほど……そういえば、ヴィル様の旅は過程を重んじるものでしたね」


 そう。

 俺が旅してるのは、新しい神器を作るため……。


 ようは、新作のアイディアを練るための旅だ。

 アイディアを欲して旅するのではなく、旅の途中で思いつくアイディが目的なのである。


 旅は目的ではなく手段。

 結果ではなく過程なのだ。


「ぷらぷら~っと歩いて、新作のアイディアが浮かんだららっきー、みたいな軽いのりの旅なんだし、先をいそいでるわけでもない。てことで、徒歩でもよいのだ」

「なるほど……あ! ヴィル様!」


 ポロが耳をぴくんっと側立てる。


「悲鳴が聞こえました!」

「おー、マジか。そんじゃ……」

「行ってきます!」


 ばびゅん! とポロが音のした方へと走り出す。

 もうすっかり、彼女も勇者の仲間入りだなぁ。前は困ってる人が居ても助けないような子だったのに。


 色んな勇者とふれあううち、色々考え方が変化したのだろう。

 いいことだ。


「ヴィルさまぁー!」


 ぶんぶん、とポロが離れたところから手を振っている。

 俺は彼女の元へと向かう。


「むきゅ~……」

「この子は……魔族?」


 ポロが小さな魔族の女の子を抱きかかえている。


「この子が魔物に襲われてるところを、私が助けたのです」

「なるほど、よくやった」


 人間、ラブ&ピースが一番だからな。


「んじゃどうしてこの子倒れてるの?」

「それはその……」


 ぐぅう~……。


「はら……へっ……た……」


 おお、お腹空いてるんだなぁ。

 ちっと待て。


 俺は(ボックス)から、こないだ作った魔道具を取り出す。

 手のひらサイズの水袋だ。


「水……ですか?」

「ただのお水ではない。名付けて、10秒チャージゼリーだ」


 俺は水袋の口を、少女のもとへもっていく。

 ずぞおぉお……と女の子がゼリーを吸う……。


「ぷはぁああ! いきかえったー!」


 さっきまで空腹で死にそうだったのに、今は肌つやも元通り。


「ゼリーに必要な栄養素をぎゅーっと圧縮、少し飲むだけでエネルギー、水分などを一瞬で摂取できるっていう魔道具だ」

「す、すごいです! ヴィル様の作る魔道具は、いつもながら最高です!」


 しかしこれ栄養は補給できるけど、食べる楽しみがなくなるのが難点だ。

 なかなか凄い魔道具を作るのって、むずかしーんだなぁ。


「このようなすごいものを作り出すなんて……おぬし! よもや八宝斎はっぽうさいではないか!」


 幼女魔族ちゃんが俺を見ていう。


「あれ? 俺のこと知ってるの?」


 すると幼女ちゃんは俺の前で頭を下げる。


「頼む! わらわの家……魔王城を! 新しく作っていただけないだろうか!」


 ……な、なにぃい!?

 魔王城を作って欲しいだってぇえ!


「もちのろん!」


 この子が誰だとか、どうして追われてたのかとか、そんなのどうだってよかった。

 ただ、魔王城が作れる……! それだけ聞いて、俺はわくわくしてるのだった。

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