194.道を違える
英雄再現の力で、勇者キャロラインの剣技をトレースした俺。
ウィニーちゃんの破壊の魔剣による攻撃を受け流しまくる。
「くそくそくそぉおおお! あたらねえ……どくしょぉおがぁああああああああああああああああ!」
ウィニーちゃんがエネルギーを全開にして、俺に向かって斬撃を放つ。
黒い稲妻を纏った一撃を……しかし俺は剣の腹をつかって受け流した。
キャロラインはレイピア使い。
その軽やかなステップと受け流しを使って、どんな攻撃もかわしてみせる。
回避からの、鋭い一撃。
それが、彼女の、勇者キャロラインの剣だ。
「ちょこまかと……うぜええんだよぉおおおおおおおおおおおおおお!」
ウィニーちゃんが背中を丸める。
すると……ずずずずずう……と彼女の背中から無数の黒い剣が出現した。
「……君は、それまでコピーできるんだね」
「はははあぁ! どうだぁ! 破壊の魔剣を、複製してみせたぞぉおおお!」
無限神器複製。
……それは、俺が使える物作りスキルの一つだ。
彼女は俺のその力まで、まねられるのだろう。
……悲しいな。
「んだよその顔ぉ……!」
「いや……職人として、そっちにいってほしくなかったなって」
大量生産、大量消費。
今の時代にはそれがあってるのだろう。
だが……職人として、その考えはもってほしくなかった。
「今からでも遅くない。その考えは捨てなさい」
「うるっせええええ! おまえに勝てればそれでいいんだよぉおおおおおおおお! いけええええ!」
万物破壊の付与された魔剣が、無限に精製されて、俺に襲いかかってくる。
ああ……残念だ。
実に、残念だよ。
「俺と君の道は……違えたようだ」
俺は、一番使いたくなかった力を発動させる。
「■……全開」




