191.使い手
万物破壊スキルで作った肉体で、ウィニーちゃんが突っ込んでくる。
破壊のエネルギーを運動エネルギーに変えているのか、すさまじいスピードだった。
「死ねやぁあああああああああああああああああああああ!」
ひょいっ。
「はぁあああああああああああああああああああああああ!?」
すっ飛んでいくウィニーちゃん。
その勢いを止められないのか、勇者の結界に突っ込む。
どがぁん! という大きな音を立ててようやく静止した。
「な、なんで避けられた!?」
「いや、動体視力を肉体改造で強化したからな」
超錬成スキルの応用技、肉体改造。
自分の細胞を作り替えて、肉体を強化する技だ。
それを用いて動体視力を上げた結果、ウィニーちゃんの攻撃を見切れるってわけ。
「てゆーか、ウィニーちゃん。発想は悪くないけど悪手だぜそりゃ」
「なにが……だ……!」
彼女がまた突っ込んでくる。
ひょいっ。どがぁあああああああああああん!
「肉体を人間ベースにしたじてんで、攻撃の幅がちょーせばまる。それに、君はその有り余るエネルギーを十全に使い切れていない」
ようするに、道具はすごいけど、使い方が成ってないってこった。
「それなら身体は元のママ、力を神器に圧縮して使うほうがまだましだったんじゃあないの?」
「だ、だまれぇ!」
ウィニーちゃんがそういいつつも、自分の肉体をさらに改造する。
悪態つきながらも、アップデートするその姿勢は、すごいと思うよ。
右腕が黒く変色し、それが剣にわかる。
なるほど、破壊の力を集中し、剣に変えた訳か。
「これならどうだぁ……!」
「いいね、こいよ!」




