189.究極防御結界
ウィニーが発動させたのは……なんと万物破壊のスキルであった。
それはヴィルの使っていた、黄金の手に宿る物作りスキルの一つ。
ウィニーは追い詰められた末に、敵の力を模倣したのである。
彼女の能力はあらゆる物に変化が可能となる。
それすなわち、ヴィルの力をまねることも可能なのだ。
……彼女は追い詰められて、最後の最後に、最も憎むべき敵から力をコピーしたのである。
それはヴィルの力を認めることになるのだが……。
それはさておき。
ウィニーは自分の体を構成する神器を使って、万物破壊のエネルギー発生させる神器へと変えたのだ。
彼女を中心として無限に、破壊の光が周囲に広がるという、最悪の神器が完成したのである。
本来ならこの神器が完成した瞬間、この星まるごと、地上に住まう生命は死滅した……はずだった。
『くそがぁ……! 結界かぁああああああああああああああああ!』
ウィニーを中心に、5人の勇者が取り囲んでいる。
彼女らの持つ聖剣を頂点として、五芒星の結界が完成していた。
「すごいです、ヴィル様! 土壇場で、こんな凄い結界を創ってみせるなんて!」
ヴィルと勇者達による、最強の防御結界神器。
それは結界内にある攻撃を、全て無効化するというもの。
ウィニーが力を発動させるあの一瞬で、敵の意図を見抜き……。
一瞬でアイディアを思いつき、そして……勇者の聖剣を使った防御結界神器を完成させたのだ。
『くそ! くそおぉ! こわれろよぉおおおおおおおおおおおおおお!』
「悪いな、壊れないよ」
結界内には、外殻を失って、素肌をさらすウィニー。
そして……彼女の前には、
「ヴィルぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!」
仇敵、ヴィル・クラフトがいた。
この中は破壊の光で満ちてるはずなのに、けろっとした顔で立っている。
「さぁ、最終ラウンドだ」




