179.英雄召喚具
炎の魔神が持つ熱を、まずはどうにかしないといけない。
俺は神鎚を手に取る。
「■」
俺の目の前に、黒い立方体の■があらわれる。
これは俗に言うアイテムボックスのようなもので、たくさんのものを収納可能だ。
俺の右手、黄金の手に宿った力の一つである。
「あの魔神をどうにかする、アイテムを取り出すのでありますか?」
ヨウが魔法矢で魔神の腕をはじき返しながら尋ねてくる。
「まあ、似たようなものだ。一人で手に余るから、神器の……聖剣の力を使う」
「聖剣……まさか、氷の聖剣と水の聖剣ですか?」
「そのとおり」
「なるほど、その二本を複製するのですね、ヴィル様の最強のスキル、無限神器複製で」
ポロの言葉に俺は首を振った。
「まあそれでもできるんだが、俺は複製ってやりたくないんだよ」
俺は物に魂が宿っているとおもってる。
複製っていうのは、その魂の尊厳を踏みにじってるようで、やりたくないのだ。
「では、どうするのですか?」
「こうするんだよ」
■のなかから、さらに別の箱が飛び出してきた。
「きれいな箱……」
それは白、そして青色の箱だ。
■よりもやや小さいが、表面には美しい模様が描かれている。
「なんて……緻密な魔法陣が付与されてるのでありますか……?」
目の良いヨウは、この箱の細工に気づいたらしい。
「来たれ、【アイス・バーグ】、【アクア・テール】!」
白と青の箱が、バカッと! と開いた。
その瞬間……箱の中からまばゆい光があふれ出る。
「これは……転移ですか?」
「いや! これもっと高度な……召喚の魔法陣!」
そう、召喚の魔法陣と魔道具を組み合わせた、新しい神器。
「! キャロラインさまに……ペルシャさま!?」
あらわれたのは、氷の勇者キャロラインと、水の勇者ペルシャだ。
俺の呼びかけに応じて、こうして召喚してくれたらしい。
「これが俺の新しい神器、【英雄召喚箱】。神器使いを召喚する神器だ」




