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【完結】追放された鍛冶師はチートスキルで伝説を作りまくる 〜婚約者に店を追い出されたけど、気ままにモノ作っていられる今の方が幸せです〜  作者: 茨木野
一章

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17.女皇帝の病気も治したうえ若返らせる



 俺は勇者ライカとともに、帝都カーターへと訪れていた。

 帝都を守る結界を修復した後、俺は帝城へと通される。


 帝国の勇者であるライカと一緒だったので怪しまれずに済んだ。

 ライカとともに、俺は城の中の、一番上の部屋の前までやってきた。


「この奥に皇帝陛下がいらっしゃる。今日は気分がいいそうだ。直接会って話がしたいんだってよ」

「あの、ライカ様。皇帝陛下ってもしかして体の具合が悪いのですか?」


 獣人ポロの問いかけに、ライカがうなずく。

 俺も覚えている。


 たしか肺をやっていたはずだった。


「ああ。ここ最近とくに咳がひどくてよぉ。帝国の最新医療技術をもってしても、皇帝陛下の肺は治せねーって」


 帝国は六大国のなかで一番歴史が浅い。

 しかし、いろんな技術を積極的に取り入れているため、技術力はドワーフの国カイ・パゴスに匹敵するほどである。


 そんな最先端技術が集まる帝都の医者ですら、匙を投げるレベル。

 かなり深刻な事態になっているようだ。


 可哀そうに……。


 ライカが、部屋の前の護衛の兵士たちに目配せをする。


「ライカだ。陛下。入るぜ?」


 護衛の兵士がドアを開ける。

 なかは狭いながらも、高級感あふれる内装をしてる。


 ベッドに横たわっているのは、見覚えのあるお婆さん。


「おひさしぶりです、アルテミス陛下」


 俺は女皇帝、アルテミス陛下に頭をさげる。

 ポロが目を丸くしていた。


「……ヴぃ、ヴィル様? 帝国のトップは、女性のかたなのですか?」

「……ああ。帝国は皇国と違って、実力主義なんでな。力のある人が上に立つんだよ」


 アルテミス陛下は、昔この帝都が未曽有の危機にさらされたとき、自分の所有する私設部隊を率いて、国を守ったという。

 その他にも様々な難事件を解決したその手腕が買われて、歴代初の女皇帝が誕生したというわけだ。


「ひさしぶりですね、ヴィル……ごほごほっ!」


 陛下が少し話しただけでせき込んでしまう。

 侍女が陛下の背中をさすっているも具合は悪そうだ。


「ライカから報告は受けております。この度は、我が国の宝のひとつ、ライカの呪いを解いてくださったこと、誠に感謝申し上げます。一度ならず、二度も」


 一度目は、ライカに封印の魔道具を作ったときのことだ。

 あのときも俺はこの人に会っている。


 当時も結構病気がちだったけど、今はあのときよりも病状が悪化しているようだ。

 ずっと咳き込んでいる。


 そして、侍女がさしだしたハンカチには血がついていた。


「死ぬ前に、きちんとお礼が出きてうれしいですわ」

「そんな……死ぬなんて言わないでください」

「いいえ、わたくしはもう長くありません。この壊れかけの体では、そう長くないと、医師より診察を受けておりますゆえ……」


 ……ん?

 壊れかけの、体?


 いや、待てよ。

 ひょっとしたら……。


「どうしたのですか、ヴィル?」

「……陛下、ひとつお願いがあります」

「なんなりと。あなたは勇者を救った恩人です。できる限りのお礼は致しましょう」


 お礼は要らない。

 俺がしたいのは……。


「では陛下。どうか俺に、あなたの壊れかけの体を、治させていただけないでしょうか?」


 陛下が目を丸くしてる。

 

「……ヴィル。気持ちはとてもうれしいわ。でも、医師はみな匙を投げました。天導てんどう教会から派遣された聖女さまでも、わたくしの体は治せぬといいます。それにあなたは、鍛冶師でしょう? モノと人の体は違います」


 たしかに、そうだ。

 それに、俺の持つ生産スキル、全修復はケガや欠損は治せても、病気までは治せない。


 けれど……。

 さっき陛下が自分の体が壊れてるって、言った。


 その単語から、俺はいけるって確信を持てた。

 病気を治療じゃなくて、病気に侵されて壊れてる体を、治すのだと。


「陛下、先生はすごいんだ。今までもすごかったけど、今はもうなんというか、神様みたいにすんごいんだよ! だから、な? 先生に診てもらおうぜ?」


 ライカの必死のお願いを聞いて、アルテミス陛下はうなずいた。


「わかりました。ごほ! げほっ! ライカを治した、あなたを信じましょう」

「ありがとうございます」


 俺は陛下のそばまで行く。

 すると、また目の前に魔法陣が出現した。


「…………」


 結界、そして邪眼。

 あのときと同じ魔法陣だ。


 俺はなんとなくだけど、この魔法陣が、設計図だと思っている。

 その【物】を構成している、図だと。


「わかる、わかるぞ……! どこが壊れてるのか……」


 俺は神槌を使って、魔法陣をぶっ壊す。

 不具合をきたしている部分パーツのみを破壊し、再構成する。


 壊れかけた体のパーツを、壊し、別のものに変えて、そして、新しい健康な体を、作り上げる!

 そのときだった。


 アルテミス様の体が、光りだしたのだ。

 結界の時と同じだ。


 七色に強く輝いている。


「!? なんてまぶしい光だ!」

「ヴィル様! 大丈夫ですか!?」


 アルテミス様から発せられた光が、やがて収まっていく。

 俺にはできた、という確信しかなかった。


「陛下。お加減は…………は? へ?」


 な、なんだ?

 これは……。


「どうなさったのですか? ヴィル?」

「え、あれ? へ、陛下……ですか?」

「? ええ、そうです。わたくしがアルテミス=ディ=マデューカス本人ですが……」


 ポロも、そしてライカもがくん、と大きく口を開く。

 なんてこったい……まさか、そんな。


 嘘だろ……。

 こんなことって……。


「あ、あの……陛下。その……体調のほうは?」

「ええ、とてもいい気分です。呼吸が苦しくない。体もとても軽い。まるで、若返った【みたい】ですわ」


 みたい……か。

 えっと、ええっとぉ……。


「へ、陛下。恐れながら、申し上げます」

「なんでしょうヴィル?」


 俺は(ボックス)から、手鏡を取り出す。

 そして陛下に鏡を渡した。


 彼女は自分の顔を見て……。


「な、な、なんですかこれはぁ……!?」


 部屋の中に、【若い女性】の悲鳴が響き渡る。

 ばん! と外で見張っていた護衛の兵士たちが入ってくる。


「陛下! どうなされ……えええええええええ!?」

「あ、アルテミス陛下!? 陛下はいずこに!?」


 彼女を見て、兵士たちが困惑してる。

 そしてそこは皇族、すぐに冷静になって、兵士たちに言う。


「落ち着きなさい。あなたたちと話している、このわたくしが、アルテミスですわ」


 ……兵士たち、ぽっかーんとしてる。

 そりゃまあそうなるよ。

 だって……。


「陛下!? どうして、そんな、お若い姿になられてるのですか!?」


 兵士が、陛下を見てそう叫んだ。

 そこにいたのは、どう見ても10代の若くて美しい女性だったからだ。


「彼が、わたくしの体を治してくださったのです。その副作用でしょうね」

「「なんとぉ!?」」


 いやぁ~……これには俺もびっくりだ。

 体の壊れた細胞を、治したはずだった。


 しかしそこには老化した体細胞も含まれていたらしい。

 古くなった細胞を、新しく作り替えた。


 その結果若返ったのだろう……。


「すごすぎだぜ先生!」

「若返りなんて女性の永遠の夢! 治療だけでなく、そんな夢物語すらも実現させてしまう。ヴィル様は、本当にすごいお方です!」


 ライカとポロが口々に俺を褒める。

 いや若返りは完全に、意図してないもんなんだが……。


 アルテミス陛下は立ち上がって、俺のもとへとやってくる。

 そして、静かに涙を流しながら、深く頭を下げた。


「ありがとう、ヴィル。あなたは命の恩人です。なんとお礼を言ってよいやら……」

「そ、そんな! 頭を上げてください! むしろ、俺を信じて体を預けてくれて、ありがとうございました」


 医師でもなんでもない男が、急に体を治させろなんて、怪しすぎるだろう。

 俺を信じてくれたこの人に、感謝だ。


「あなた様は勇者だけでなく、このおいぼれの命すらも救って見せた。この恩には、相応の対価をもって報いたいと思います。沙汰は追ってお知らせしますので、どうか、しばらくは滞在していただけますと」


 対価、かぁ……。


「金なんていらないです。お礼は、陛下の美しい笑顔で、十分です」


 なんてね。

 すると陛下が「そ、そうですか……」と顔を真っ赤にして、眼をそらす。


 ちょっと気障だったかな。

 うわぁ、はずいぃ~。


 そんな俺らを見て、ポロとライカがぼそぼそと話す。


「……アルテミス様、若いころはあんな美しいなら、さぞもてたでしょう?」

「……陛下って生涯独身だったんだぜ」

「……つまりは、ライバルということですかっ。く、皇帝さえも惚れさせてしまうなんて!」

「……まあでも先生は素敵な男性だからな、そこに加えて命を救った。しかたねえ、しばらく共同戦線をはるぞポロ」

「……はい! ライカ様!」


 なんかふたりとも言ってたけど、聞こえなかったのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 鍛治士とはいったい [一言] 面白いけど設定に無理ありすぎ 真面目に一本半月で作ってる鍛治士や医療関係者などなどがかわいそすぎる
[気になる点] 『アルテミス陛下は、昔この帝都が未曽有の危機にさらされたとき、自分の所有する私設部隊を率いて、国を守ったという。』どっかで聞いた話だな。伝説級の弓の名手がいたりしてな。
[一言] とりあえず子種バラまいとけばいいんだよ。 こんな世界なら結婚の必要なんか無いじゃろ。
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