166.独り相撲
《ウィニーSide》
「うぎゃああああああああああああああああ!」
コントロールルームにて、ウィニーがのたうち回っている。
「くそぉ! ちきしょお! いてえ! 痛えよぉおおおおおおおおおお!」
ウィニーは現在、要塞と融合してる。
ヴィルが要塞内で暴れているということは、つまり、彼女の身体の中で暴れ回ってるということと同義。
彼が壁やトラップを破壊すると、その都度、かなりの痛みがウィニーを襲った。
それは耐えきれないレベルの激痛であった。
「ヴィルの野郎……気づいてやがるんだな! この要塞とボクが同化してるってこと。要塞を攻撃することが、ボクへ有効打を与えることだってことを!」
残念なことに、ヴィルはそんなことにまったく気づいていなかった。
彼はただ単純に、知的好奇心を満たすために、建物を破壊しているのだ。
「くそ! 意外と賢いじゃあねえか……ヴィルぅ!」
……残念ながら、賢さからは縁遠い行いであった。
そしてもっとかなしいことに……。
「ふ……ふふ……ヴィル。自分こそが七福塵の、子だって言いたいんだな……いいぜ……ヴィル……負けられないんだな」
……ヴィルは、戦っている相手がウィニーであることを、理解していない。
し、そもそもウィニーのことを認識すらしてないのだった。
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