158.もどれこれ
俺と火の勇者ヨウは、ムササビ外套を使って空を飛ぶ。
目指すは空中要塞の、内部!
「いくぜ砲台のなか!」
「馬鹿じゃないの!?」
横を飛びながら、ヨウがそんなことを言う。
「あ、す、すみません……いやでも! 砲台のなかって! 無理であります!」
「どうして?」
「どうして!? なんでわからないのでありますか! 砲台のなかには、砲弾が装填されてるのでありますよぉ!?」
ん……?
「おいおい、そんなの当たり前だろぉ? なぁに変なこと言ってるんだよー、おかしなヨウだな」
「おかしいのはあんたでありますよぉ! ああこっちにロックオンされてるのであります!」
砲台が一斉に、俺とヨウに向く。
そして……。
ドドドドドドドドドゥ……!!!!
「いやぁあああああああ! 一斉掃射でありますよぉおおおおおおお!」
普段のヨウなら、魔法矢でこんな砲弾くらい、全部打ち落とすだろうに……。
ふむ。
「空中じゃ矢が打ちにくいか」
「こんな状況でぼけてんじゃあねえでありますぅううううううううううううううううううううう!」
ぼけ?
別にぼけてないが……まあいい。
要塞につけられた全ての砲台から、弾丸の雨が、俺たちに向かって降り注ぐ。
「助けてぇ! う゛ぃるえもーん!」
「えもん……? ■オープン!」
俺は作った魔道具を、■のなかから、取り出す。
それは小さな懐中時計だ。
「もーど~~~~~~~~れっ!」
かちっ、と俺は懐中時計のスイッチを押す。
すると、世界が灰色のになる。
灰色の領域に入った弾丸は……。
勢いが徐々に遅くなっていく。
「と、止まった……?」
「いや、ちがうぜ。戻ってるんだよ」
「も、戻る……?」
弾丸が逆方向に飛んでいく……。
というか、飛んできた方へと戻っていくのだ。
結構な勢いで、弾丸は戻っていき……。
どがぁあああああああああああああああああああああああああん!
「砲台が破壊されたのであります! う゛ぃ、ヴィル様……今のは?」
「【戻れウォッチ】」
「戻れ……ウォッチ?」
「時空間を操る領域を展開し、そこにはいった物体の時間を巻き戻す魔道具だよ」
前に向かってきた弾丸は、後ろへと戻っていく。
地面に落下した物体は、上昇していく。
そんなふうに、物体を戻すことができる魔道具だ。
「じ、時間を操るなんて……すごいのであります……」
「といっても世界全体の時間を戻すんじゃあなくて、その物体の時間だけだけどな」
「でも……そんなの神業でありますよ……」
神業じゃあないんだけどな。
単なる技術というか。
さて、弾丸が戻ったことで、砲台が壊れた。
そこに大穴が空いてる。
「しめた! あの穴から入るぞ! いくぜヨウ!」
「あ、ま、待って~!」
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