143.配給くん
俺は火の勇者ヨウに、グレードアップしたこの護神像のなかを案内することにした。
歩いていると、そこかしこに、四角い大きな箱があるのがわかる。
「……ヴィル様、これは?」
「配給くん」
「は、はいきゅー……くん?」
俺は箱に近づく。
人間と同じくらいの身長だ。
箱にはいくつか絵が描かれている。
毛布などの衣類、布団等の生活品から、飲み物のマークまで、たくさん書いてあった。
「欲しいやつどれか押してごらん」
ヨウが毛布の絵に触れる。
すると……。
がたんっ!
「箱の下に……取り出し口?」
「おうよ、出してごらん」
それは小さなカプセルだ。
なかに小さな毛布のミニチュアが入ってる。
「それを開けてごらん」
かぱっ。
ずぉおおおおおおお!
「な、中から毛布がっ!?」
「そう、ほら、魔物を捕まえた魔道具あるじゃん? その応用。中にものがしまえるのよ」
へえー……とヨウが感心してる。
「こんな感じのカプセルがたくさん入ってるんだ」
「で、でも……そのカプセルはどこから仕入れてるのでございますか?」
「ないよ。この箱のなかで製造されてる」
「ふぁ……!?」
俺は配給君をぽんぽん、と叩く。
「大気中の魔素……魔力の源を吸い込んで、中に組み込んでおいた錬成スキルが発動。大気中の魔素を元に、必要な配給品が錬成されるって仕組みだ」
「? ?? ???? い、一ミリもわからないのでありますが……」
「ようは、空気があればそれを使って、配給品を作ってくれるんだよこれ」
「す、すごすぎませんこれ!?」
ふふん、だろぅ?
「まあもっとも、精密機械だから、砂埃とかに弱いんだけどな」
ようは外に出せないのである。
この建物の中限定だ。
「それに魔素も結構な量いるんだ。でもこの中ってなんか知らんけど、めっちゃ魔素で満ちてるのね」
「……な、なるほど。本当にこの護神像のなか限定で動く魔道具なんですね」
「そのとおり」
「す、すごすぎます……空気から万物を生成する魔道具を作ってしまうなんて。まさに、神……!」
キラキラした目を向けてくるヨウなのだった。
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