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小豆袋  作者: 杉勝啓
1/3

浅井長政

元亀元年4月


お市は 夫、浅井長政より離縁を告げられた。


「な、長政様、なぜ・・」

離縁状を渡し、そのまま、去っていこうとする長政に追いすがった。

お市に目を落とし、長政が言った。

「小豆袋」

「!」

「理由は、それだけ、いえば十分であろう」

そのまま、長政は去って行った。

「ああ・・・」


それでも、部屋を出て行った長政を追った。

「お待ち下さい」

振り返った長政の顔は悲しみに満ちていた。

「私が兄に小豆袋を送ったのは」

「もうよい。そなたは兄者を選んだのだ」

「違います。私は長政様と兄と争ってほしくなかっただけなのです」

「・・・・・」


一時、間をおいて長政が言った。

「政略で娶った妻と幾人、子をなそうと心を許してはならぬというが、私は、多少、期待していた。だから、このたびの出陣のことも隠さずそなたに告げた。もしかして、そなたが私を選んでくれるのではと」

「だが、期待は裏切られた」

「長政様は兄と戦って、浅井の家が無事に済むとお思いですか」

「私が負けると・・」

「はい。知略も武略も長政様の方が上です。ですが、兄にあって長政様にないものがあります」

「そなたの言いたいことはわかった。今、兄者と私が戦わずにすむ方法がひとつだけある」

「そ、、それでは」

「そなたが言いたいのは浅井家の粛清であろう」

「は・・はい」

「父はじめ、朝倉よりのものを粛清することだ。そのものたちの首を信長殿のもとに送り、恭順の意を示せば、信長殿も私と戦おうとはいうまい」

「そのような、そこまで・・」

「そなたが言っているのは、そういうことだ」


「妲己のような女だな。そなたは」


「ああ・・」


そのとき、お市はめまいに襲われ倒れてしまった。



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