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03 魔術師、冒険者になる

ギルドの中に入ると大勢の冒険者らしき風体の男たちが一斉にこちらを見た。ノアは全く気にせず、僕を引っ張るように受付に向かった。


「なんだか睨まれている気が…」

「女の冒険者がめずらしいんだよ。この町ではあたしとソアだけだからね」

「いや、にらまれているのは僕じゃないかと…」

「格好が変わっているからじゃない」


いや、あちこちで

「ノアちゃんが男を連れて…」

とつぶやいてるのが聞こえてるんですが…


「おひさー、受付のお姉さん!」

「おひさしぶりです、ノアちゃん」

「うーん、もう16になったんだからノアちゃんは止めてよ」

「おひさしぶりです、ノアさん。本日のご用はなんでしょうか」

「ミスターの登録に来たんだよ」

「ミスターというのは、そちらの怪しげな方でしょうか」


受付のお姉さん、こわいです。

「ノアに手を出したら生きて町をでられないよ」

と眼が語っています。


「そうだよー、依頼の途中で知り合ったんだ」

「冒険者として登録でよろしいのでしょうか」

「はい、それでお願いします」

「ではこちらの用紙にお名前と冒険者のタイプをご記入ください」

「ええと、タイプというのは?」

「魔術師とか剣士とか、パーティーでの役割と思っていただければよろしいかと」

「ミスターは剣士かな」


魔術師が希望なんだけど…と思いつつ、名前の欄にはミスターとだけ、タイプは剣士と記入して用紙を戻す。自分では日本語で書いているつもりなのに、そこに記入されていたのは見たことがない文字だった。それなのに何と書いてあるのか自然にわかる。不思議だ。

「では魔力の測定をしますので、これに手で触れてください」

お姉さんが出してきたのは、ビロードのクッションに載せられた水晶の玉だった。


おぉ、やっとパターンに入ってきたかな。

これって鑑定用の魔道具ってやつだよね。

手を触れると粉々になって、すごい魔力だって驚かれる。

定番だよね。


喜んで水晶玉に手のひらを押し当てた。

「何も起こりませんね」

「ええ、何も起こりませんね。少々、お待ちを」

お姉さんは受付のカウンターの下から一回り大きい別の水晶玉を取り出した。

「こちらでお試しください」


お、これは魔力が多すぎて水晶玉が壊れたってことかな。

さすがに砕けるとかは、ファンタジーすぎるってことか。


再度手のひらを押し当てる。

「何も起こりませんね」

「はい、何も起こりませんね。間違いありません、あなたの魔力はゼロです」

「そんな…何かの間違いでは」

「そうですね、確かにゼロというのは間違いでした」

「そうでしょう、で本当は?」

「大きな水晶でも測れない測定限界以下、つまりほぼゼロということです」

「……魔法は」

「魔法は無理ではないかと…」

「魔法が使えない…」

「はい、魔法が使えるとは思えません」

「訓練しても…」

「はい、魔力が少なすぎますから」


終わった…

魔法チートもなかった。

チートどころか全く使えないなんて…

何のための異世界だよ!


三話目は短いので、二話目に続いて今日投稿します。

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