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165 魔術師、ベータの解析を聞く

「解析結果を聞かせてくれ」


ギルドにギルマスを送り届け、僕はベータの部屋でボーマンの力についての解析結果を聞くことにした。


「ステイシスフィールドではないかと」

「ステイシスフィールド?」

「その領域内では時間が停止しているか、極端に進み方が遅くなっている空間です」


思い出した

高校時代に呼んだSF作品に登場していた

停滞空間ってやつだ

本当に実現できるとは…


「ボーマンはステイシスフィールドを発生させていると推測」

「木の杖でアダマンタイトの剣を止めたり、鉄の盾を貫いたりするのもそれか」

「ステイシスフィールドで包めば可能。時間が停止している物体には如何なる変化も生じません」

「つまり…破壊されないってことか」

「肯定です」

「剣を受け止めるのはいいが、盾を貫くのは…」

「ボーマンの筋力」

「破壊不能の杖をボーマンの筋力で突けば受け止めるのは不可能ってことか。では、あの光るカーテンは?」

「空気の層をステイシスフィールドで包んだ物。空気分子が停滞状態になっている」

「どうして冒険者たちが跳ね飛ばされたんだ」

「時間が停止した物体は位置も変化しない。空気分子といえども、突破不能の壁となる」

「位置が固定されるのなら、この星の自転からも取り残されて、すごい勢いで飛んでいってしまわないか」

「データ不十分」

「推論せよ」

「ボーマン本人との相対位置で固定されるものと推測」


物理的防御としては完全と言える

だが、ちょっとまてよ…


「そのステイシスフィールド内に入り込んだものは時間が停止するということになるのか」

「その推論は観測結果と矛盾。おそらく、ステイシスフィールド発生時にフィールド内に存在した物質を停滞状態にする能力と推測」


ベータの推論が正しければ、フィールドは一度発生させてしまえば、本人が何もしなくても維持されるってことになりそうだ。


「ステイシスフィールドの効果時間はどうだ」

「ボーマンがフィールドを放置した場合の効果時間は不明。観測データがありません」

「奴が戦闘中に捨てた杖はどうなったんだ」

「あの杖でESPジャマーの実験をしました。ボーマンが気がついた様子を見せなかったことから、効果時間は短いと推測されます」

「ESPジャマーの結果は?」

「有効。ただし低い確率で効果時間の切れるタイミングとジャマーを掛けたタイミングが一致した可能性もあります」

「他に推測できることは」

「発生可能なステイシスフィールドの大きさの限界は、それほど大きくないと推論」


たしかに。槍の男たちの前にステイシスフィールドの壁をはるよりも、可能ならば男たち自体を停滞状態にしてしまえば一瞬で無力化できたはずだ。つまり、6人をまとめてステイシスフィールドで包むことは出来ないと考えられるな。


アダマンタイトの剣の男を停滞状態にせず、木の杖を停滞状態にして受けたのは、人間ひとりでもフィールドで包み込むのが無理なのだろうか。それともフィールドの大きさで発動までの時間が変わるのか。男を対象にしては間に合わないので、より小さな杖を対象にしたのかもしれない。


それにしても、ボルグに続いてボーマンも時間停止の能力か…


「ボルグといい、ボーマンといい、時間停止の大安売りだな」

「否定です。当機体内のアリサの人格データ内のボルグの能力、マスターがアリサに話したデータから推論分析。ボルグの能力は時空転移能力と推測」

「時空転移?時間を止めていたんじゃないのか」

「本人以外の全ての時間を止めるのは不可能。全宇宙まで効果を及ぼせるとは思えません。ボルグ本人が別の時空に転移すると考えるのが自然。ボルグの転移先の時空の時間の進み方がこの世界の時間よりも極端に早いと仮定されます」


なるほど

まぁ、今更分かってもどうということはない

ボルグはすでに倒した

問題はボーマンだ


「命令だ。ボーマンと対するときは、自分自身を停滞状態にされないようにESPジャマーを動作し続けるんだ」

「否定。それではマスターを停滞状態から守れません。優先事項に反します」

「そうではない、ベータが停滞状態にされれば、ESPジャマーのない僕にはなすすべがない。ベータが停滞状態で無ければ、僕の停滞状態を解除できるはずだ」

「戦闘用アルファ系機体と異なり、当機体のESPジャマーは1系統のみ。当機体をESPジャマーで覆っている場合は、マスターに対してのESPジャマーの発動は不可。マスター保護の最優先命令により、今の命令は受諾不可」

「ESPジャマーを僕に発動させる必要は無い。僕に近づいてベータ自体を覆っているESPジャマーの有効範囲内に僕を入れてしまえばいいんだ」

「状況を理解。命令受諾」


まだボーマンのステイシスフィールドの性能について不明な点は山ほどある。ガンマ線や中性子線は停滞状態の物質を透過できるのだろうか。ブラックホールは? ステイシスフィールドで位置が固定されたものは僕のテレポートで飛ばせるのだろうか。それに、ステイシスフィールド以外の超能力を持っているかも知れない。


実戦で確かめるしか手がないか…



★★ 166話は7月2日00時に投稿

★★ すみません。都合により、166話は7月4日にアップします。

★★ 7月中は投稿頻度を4日ごとにさせて頂きます。m(_._)m

★★ 8月には偶数日の投稿に戻したいと思います。


外伝を投稿中です(休載中再開未定)

https://ncode.syosetu.com/n3559hz/

王女と皇女の旅  ~魔術師は魔法が使えない 外伝~

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