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Faker ZERO  作者: Joker
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0.01章 0.02話-運命の出会い-

刹那がラウンダーの仕事をしていることを批難する咲。

そんな彼女に黒崎は……。

 私は黒崎さんに詰め寄っていた。あんないたいけな少女を戦場に送るとはどういうことだ!やっぱり彼はおかしくなっている。あんな小さな子供を……以前までの彼からは考えられない。彼の研究部門のチームから彼女は選抜されたと風の噂を耳にした。

咲:「黒崎さん、どういうつもりです!あの子……刹那のことでお話が!」

もうその時、彼は上層部でもかなりの力を持っていたし、Sラウンダーである私も彼からしてみれば一、一般兵にしか過ぎない存在となっていた。

黒崎:「久しぶりだな、仲里君。とても強く……綺麗になった。」

思わず昔の仲間からの称賛の言葉に照れてしまった。今更……なんのつもり?あなたは瑠璃一筋だったじゃない。私のことなんか……全然見ていてくれてなかった癖に!

咲:「今はそんな話をする為に此処に来ていません!戦場にあんな小さな子供を……一体、どういうつもりです?」

私は思いきり、彼の机を叩いた。子供を戦場に送るなんて考えられない。以前の彼からは考えられないほどの暴挙だ。

黒崎:「君も見ただろう……彼女の“強さ”を。あの強さは人間の“ソレ”じゃない。彼女は“兵器”だよ。」

こともあろうか“兵器”だって?見損なった!こんな……こんな人じゃなかったのに!

咲:「子供ですよ?それもまだ小さな……学校に通って友達同士で遊んでいるような年頃の!それがいくら強いから兵器ですって?見損ないました!」

私は彼を強く睨みつける。

黒崎:「仲里君……君はあんな兵器にまで情をかけるつもりか?瑠璃も言っていたよ、君はとても強いが……優し過ぎると。」

瑠璃がそんなことを?だけど……あんまりじゃない。いくら強いからってあんな綺麗な可愛い娘をバケモノの巣窟に送り込んで……本当にあなたは変わってしまった。前の優しいあなたは何処へ行ってしまったの?

咲:「どうやら……話しても無駄なようですね。」

黒崎:「君を失いたくない。」

咲:「……ッ!」

私は思わず言葉を失った。

黒崎:「私はね……瑠璃だけでなく、君までも失いたくない。それだけは理解して欲しい。」

咲:「私のことなんて……なんとも思っていなかったでしょう。」

惚れた弱みか……言葉に力が入らなかった。

黒崎:「わかった、そこまで言うなら“刹那”を君に預ける。君のその目で確かめると良い。」

彼はそう言うと立ち上がる。

黒崎:「君には本当に期待している。だから……思い悩んで戦場で命を落とすようなことだけにはなって欲しくない……刹那。」

彼がそう言って私の肩を軽く叩く。そして、この間の戦場で見た少女が私の前に現れた。

黒崎:「私もこんな少女が戦うところなんて見たくないよ。でも……この戦いには勝たねばならない……どんな手を使おうとも。」

私は刹那と一緒に黒崎さんの部屋を出て行く。なんと会話して良いかわからない。驚くほど感情が無い少女だ。


 刹那を仲里に預けて部屋から出て行った。そんな彼女を私は笑った。

黒崎:「本当に君は変わらないな……あの時からずっと一緒だ。」

あんな兵器にまで心を割いて……本当に君は甘い人間だよ。それにどうしようもなく女だ。瑠璃も言っていたよ、私よりも女らしくて優しいと。とても強いがそれが仇になると。

黒崎:「……本当に女というヤツは……どうしようもない。」

瑠璃、本当に君はあれで幸せだったのか?

黒崎:「せいぜいその“兵器”を大切にしてくれ、仲里君。君はその娘を命懸けで守ってくれるだけで良い。我々にはその娘がまだまだ必要だからな。」

私は1人、笑みを浮かべた。瑠璃……待っていてくれ、私が必ず君を救い出す。


 しかし、2人きりで困った。自宅に連れて来たのは良いが何を話して良いかわからない。目の前にちょこんと座る彼女。とても綺麗だ。これは私が男だったら勘違いしちゃうかも。彼女はじっと私の瞳を見つめている。こんなに可愛くて綺麗な娘があんな戦い方をするなんて……今でも信じられない。

咲:「あの……こんにちは。」

刹那:「……こんにちは。」

やった、はじめて喋ってくれた。少しだけムッとしたような表情の彼女。声も凄く透き通っていてまさしく美人だ。この娘、あと何年か経てば物凄い美人になる。

咲:「私、咲。仲里咲。よろしく、刹那ちゃん。」

刹那:「……。」

あれ、また何も喋らなくなっちゃった。でも……笑ったらもっと凄く綺麗だと思う。勿体無い、こんな美人はそうそうお目にかかれないもの。ショートヘアも似合っているけど……髪を伸ばすと、とんでも無い美人になると思う。

咲:「物凄く……可愛い!」

刹那:「……。」

彼女は私の言葉と視線を避けるようにして身体を少しだけ斜めにした。嫌われちゃったかな。私は手をワキワキさせて彼女に近づく、やっぱりこの娘凄く可愛い。

刹那:「……近づかないで、気持ち悪い。」

酷い……この娘。せっかくお姉さんが頭を撫でてあげようと思ったのに……。

咲:「冗談はともかく、私今日からあなたのお母さん……いや、お姉さんになる!」

刹那ちゃんは私を見ると意味不明だというような顔で此方を見た。お、少しは感情を表に出せるじゃない。

刹那:「必要ありません。」

咲:「ヤダ、私あなたのお姉さんになる。」

刹那:「しつこい。私、帰ります。」

私は刹那ちゃんを強く抱き締めて、食い止める。

刹那:「この……離せ!」

拒絶される。この娘は……寂しいだけなの。ちゃんと接してあげればきっと……。

咲:「寂しかったよね……大丈夫、お姉ちゃんが今日から一緒だから。」

刹那:「ホント……気持ち悪い。」

酷い言葉を浴びされながらも私と刹那ちゃんの奇妙な生活が始まったのだった。

こうして、咲と刹那の奇妙な生活が始まった。

咲は刹那と無事に打ち解けることが出来るのだろうか。

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