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Faker ZERO  作者: Joker
1/10

0.00章 0.00話-失ったモノ-

※本編に関わる重大なストーリーですので7章全てを読んでからお読みになってください。

 一部大きく本編に関わり、更に今後の展開にも重大なヒントにもなり得るお話です。

 気になる方は引き続き、本編が完結までZEROはお読みにならないことをお勧めします。

 ネタバレが全然問題無いという方はぜひ、お読みになってください。

 随分と派手にやってくれたものだ。高城……仲里を消す為に本社を潰すとは相当、彼女のことを危険視していたのだろう。私は1人で注射器を持ちながら彼女の場所へと辿り着いた。もし生きていればこの薬で彼女の生命を奪う。それが私の今の役目。

黒崎:「仲里くん、やはり無事だったか。」

こんな程度でくたばる女じゃないことは知っている。この女は……“兵器”なのだから。簡単に壊れる兵器などただのゴミに過ぎない。

???:「仲里、誰です?」

雰囲気が違った。どういうことだ?私は注射器をポケットの中へとしまい込んだ。

黒崎:「君のことを言っているのだが?」

???:「……私、刹那ですけど?」

記憶が欠落している?これは……面白い。

黒崎:「そうだったな……君は最強のSSラウンダーで殺戮兵器の刹那くんだった。」

刹那:「私……あんまり最近の出来事を覚えていないのですけど。」

ふふ……まさか、天が私に味方をしてくれるとは……まさにこれは運命だ!

黒崎:「そうか、君はある任務でターゲットの命を狙っていたのだよ。」

刹那:「誰?」

刹那と自分で名乗った少女は無表情で此方に顔を向ける。

黒崎:「草壁諒。」

刹那:「草壁……諒?知らない名前。」

やはり……記憶喪失か。いつもの君がその名前を知らないなんてあり得ない。邪魔者はさっさと始末するに限る。いや、上手くいけば2人とも消せるか?

黒崎:「受け取りたまえ。」

私は違う方のポケットから彼女に特別製のカスタム端末を投げて渡した。彼女は左手でしっかりとその端末を受け取る。

黒崎:「その端末で上手く姿を隠すが良い。もしかすると彼は君よりも化けるかもしれない。今はただのFakerだがね。」

彼はアトラスの民のオリジナル……の贋作。本物である君には敵う筈も無い。しかし、どうして彼女はこんなにも儚く、美しいのだろう。私たち人間よりも強くありながら、何故人を虜にするような美貌を持ち合わせているのか。“兵器”に美しさなど必要ない。ただ殺し、壊し……全てを吹き飛ばす。そういった醜い在り方が兵器と呼べるものだろう。まったく、アトラスの民の考えることは良くわからないものだ……。


私は黒崎からもらった端末で自分のエーテルボディを調整する。端末に調整機能がついているのに驚いた。流石、上層部と言ったところだ。立ち上がると、草壁諒を殺す為に任務へ就く。任務の情報が端末に送られてくる。調査任務が発令されるまで目的地で待機。1人になったところを狙う。

刹那:「草壁……諒?」

何故か引っかかる名前。しかし、何も思い出せない。記憶がすっぽりと一部だけ、私の頭の中から抜け落ちてしまったような感覚。

刹那:「……本当に私?」

自分の身体の変化に気づく。自分の身長を高いと感じる。そして身体を確認して驚いた。だって私は……髪なんか伸ばしていなかったから。物凄く長髪で驚いた。背中の中央くらいまで伸ばしているその髪が夜風になびく。

刹那:「どうなっている?」

何が起きている?でもちゃんと記憶はある。12歳くらいまでの記憶。というか、今が何歳かわからない。私は大きなガラスの破片を見つけて拾い上げる。

刹那:「……?」

そこには明らかに成長した自分の顔があった。顔立ちも大人っぽくなっているだろうか。胸も膨らみ、腕も脚も長くなっている。

刹那:「……!」

身体も重たく感じる……昔はあんなに身軽だったのに……慣れるのに少し時間が掛かりそうだ。黒崎、私を騙したのか!思いきり右手で瓦礫を叩きつけた。瓦礫にヒビが入り崩れ落ちる。緊急の連絡が無い限り、ガーディアンフォースには戻ってくるなと言われている。任務を終えなければ本部には戻れない。わざわざ戻って黒崎に事情を説明させても記憶が戻るとは限らない。随分と面倒なことになった。

刹那:「殺せばいいのね、殺せば!」

私は苛立ちながら目的地に向かった。さっさと任務を終わらせれば黒崎からも事情が聞けるだろう。跳躍してその場所へ急いだ。


 あれから何日が経っただろう。一向に草壁諒はやって来ない。自分の身体に慣れる為にこの大鎌で自分なりに身体を動かしてみる。なるほど、どうやら身体の方は違和感なく動かせる。しかし、何故か納得がいかない。以前までの私はこんな大物を好んで使わなかった。私は短剣とまではいかないが、片手で扱えるよりも少し小さめの剣を二振り扱っていた。俗に言う双剣というものだろうか。大鎌を持ち歩いているところを何人かに目撃されてしまったけれど見られたからと言って殺す訳にもいかない。さて……どうしたものか。そんなことを考えているとやっとターゲットが姿を現した。そして油断しているところを狙って彼らに襲撃をした。

刹那:「……。」

諒:「……!」

瞬発力と運動神経がかなり良い……なるほど、コイツは面白い。思ったよりも楽しめそうだ。しかし、後ろの女が邪魔だ。私は女の方から片づけようと、彼を狙わずに後ろの彼女を徹底的に執拗に狙った。彼が彼女を下がらせる。随分と賢いじゃないか。そう、私の本当の狙いはその女じゃない。お前だよ、草壁諒。目の前の男の生命を奪う為、大鎌を彼に振るった……。

仲里桧璃は思い出を振り返る。

かつて自分が刹那だった頃の話を。

自分を刹那から仲里桧璃にしてくれた人物のことを。

次回からZEROは仲里咲の視点で物語が進みます。

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