7/12
七章 : 惨
ボクは植物。人間はボクをなんと呼ぶのかわからない。いわゆる「雑草」なのだろう。
生えている場所は最悪だ。硬い地面の下から頑張って根を伸ばして生きている。
それなのに、毎回この地面の上を重い重い何かが、とんでもないスピードで走っている。そのたびに、ボクは葉っぱからの痛みを耐えている。でも、枯れたりしないから、ただただ痛いのを感じるだけ。
あとどれぐらい、痛みに耐えればいいんだろう?ボクには考えてもわからない。
ある日、ボクは今までより遥かに痛みを感じた。上から引っ張られるようにされて、多分、根っこごと地面から離された。
もう、痛みに耐える必要はないんだな。
そう悟った。けど、ボクは何かを失ったなんて、わからないんだ。ボクが生きている意味も、よくわからなかったな。