六章 : 陽
檻には、腕に傷を負い首輪がつけられた女性がたった一人いた。
女性は布団に乗り、寝ることを決める。
今日もまた、誰も来なかったと思いながら。
翌朝、目の前には一日分の食事。
毎回、いつ誰がどこからどうやって運んできたかは知らない。知らなくてもいい。
そう思いながら、女性は朝の分の食事に手を出し、咀嚼。
もぐもぐと無言で食べる。
ゴミ箱にゴミを捨て、これから何をしようか、考えていた。
ここは別に刑務所でもなく、自由に出ることもできれば、ここから去ることもできる。
それでも彼女は特に行く宛もないため、ここに閉じこもっているのだ。
彼女は散歩をしようと、檻から出た。
外は自然が豊かで、花も咲き誇り、動物や虫たちは生命を育んでいた。
「……きれい。」
少し虚ろだった目に光が灯った。
奥へと進む。川が流れていた。
「…きれい…。」
またも、光が灯る。
川の流れに反射する太陽の光、川の流れる音。彼女にとってそれは癒しの存在だ。
時には鳥が木に止まり、可愛らしく歌い始める。
自然の美しさに見とれていた時、突然倒れた。
しかし、すぐに起きることができた。
が、肉体を見て、いや、肉体ではない、その幽霊体を見た彼女は、状況を理解するのに時間をかけた。
理解した彼女は、驚くこともなくその体であたりを動きはじめた。どことなく幸せのようにも感じられた。
彼女は■を失った。しかし、決して悪いことではなかった。