五章 : 戮
文字が、流れ込んでいく。
知らない文字が、頭の中に。
読めないのに、理解できる文字が。
読みたくない。理解りたくない。
嫌悪感を感じ、恐怖すらも感じる。
「ああああああああっ!」
今までにない激痛が走る。耐える。
…まだ、生きていた。
「あっ…ううっ…」
反動で、動けない。頭の中が猛烈に痛い。
文字が頭の中で蠢いて、気持ち悪い。
とりあえず、もうここから出よう。
知らない町中に出て、コソコソと話し声が聞こえた。
「ねえ、あの人…」「あいつ…」「あのお姉さん…」「シッ!」
普段ならなんとも思わないはずなのに、文字が動いて、大きい嫌悪感を感じる。
「ああっ!」
叫び、文字が出る。
文字はそいつらを貫いた。子供でさえも。
「はぁ…はぁ…」
私は何も、悪くない。
悪いのは、「文字」。
でもなぜだろう、自然と嬉しさがこみ上げてきた。
本当は、自分の力を嘆くべきなのに。
それから私は、無理矢理文字を行使させ、人を殺していってしまった。
『やった…』
殺すたびに、思ってもない言葉を喋る。
私は、文字に操られるだけの、殺戮兵器となってしまった。そのたびに快感を得る、非道な殺人鬼に成り下がってしまった。
私は、■■■を失った…?