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顕世界幻象  作者: Konoha
序章 : 顕現
3/12

三章 : 無

何にもない、虚無空間。

僕には、魔法を出して時間を潰すしかない。

炎を出してみたり、風を吹かせてみたり。

また、水を生成したり。

様々な魔法を撃ち続けた。

そこへ1人。全身白の服を着た幼い少女がやってきた。

誰だ?

この虚無空間には、僕しか入れないはず。

となると、この少女はそれを無視して入ってきたことになる。

「こんにちは」

少女は律儀に挨拶をした。僕も挨拶を帰す。

「こんにちは」

少女は笑みを浮かべた。

こんな所で何をしているのか。そう尋ねた。

「なんで…だろう?気づいたらここにいたのかな。」

ますますわからない。気づいたら居たということは、誰かに転送魔法をかけれられたか、あるいは…

「あの、なまえはなんていうんですか?」

僕の名前。唐突に聞かれた質問に答えようとするが、僕は名前を思い出せなかった。

「ごめん…思い出せないんだ。」

そう言うと、少女は笑って、

「だいじょうぶ!」

そっか。と、生返事で返した。

僕は再び、魔法を撃ち始める。

横で少女は「すごーい!」とか、「がんばれー!」と、歓喜の声を上げている。

自分の魔法はすごいと思うけど、これまでそんなに褒められたことがなかったので、あまり実感がない。

と、突然、虚無空間から灯りが消えた。

少女を心配したが、声も聞こえなければ気配もない。

…いや、僅かに気配が感じ取れる。

この、少し先…

「たすけて!」

声が聞こえた。無我夢中で走る。

少女は助けを求め続けている。

「今行くから!待ってて!」

僕もそう叫んだ。

灯りが戻る。

少女は倒れていた。

「大丈夫?!」

必死に少女のそばで呼びかけた。

しかし、反応がない。

「大丈夫?!起きて!」

呼びかけた。時間さえも忘れ、僕はかなり長い間、呼びかけた。

そうして、呼び続けること2時間。

少女は、起きた。

「…ん」

良かった、起きた。そう思っていたのに。

「えっと、だれ…ですか?」

記憶を失った少女。よく見るとその服は、すこし黒い部分が見られる。

何をしても分かってもらえない。そう悟ってしまった。

僕は、「なんでもないよ。人違いだっただけ。」

と言って、その場から立ち去ろうとして、後ろを向いた。

その時、少女に腕を掴まれた。

振り返ると、全身黒の少女。

彼女は光となって消えていっている。

「一緒に、行こうね。」

笑いながら、そう発した。

僕は本能的に、この現実を受け入れた。

そして僕も、光となって消えていく。

やっと、抜け出せる。

僕は、■を失った。


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