二章 : 哀
真夏の朝の雨。嫌いじゃない。
むしろ、晴れるよりいい。
プールの授業をしなくて済むし、何よりも落ち着いた気持ちで1日を過ごせるから。
エレベーターが1Fに着く。エレベーターから出て、そのまま駅へと歩みを進める。
スマホをかざしながら改札を通り、ホームへと歩く。ホームに着き、人数を数えてみる。
いつもならもっと多いはずだが、多分時間をずらしているからだろう。
そうして視線を走らせてふと、一人の人が気になった。
ふらふらしていて、死んだような目。
自殺でもするのかと思ったが、列車が到着してからも、そんな騒動は起こっていない。単に仕事に追われている人なのかもしれない。
列車に乗り、座席に座る。
『ドアが閉まります。ご注意下さい。』
列車が心地よく走り始める。手を閉じて、開いた。なぜだか、そうしたくなった。
そこまでして、嫌な予感がした。
ふと、列車外に意識を向けて、その予感は当った。寒さを感じた。物体が飛ぶ。
氷が、列車を前方から暴食する。
前から順に、人間が食われて。
怖い。逃げることもできない。
私も死んでしまう。目の前に氷が迫ってきた。
首が抉られ、次に手足を切断された。
苦痛で、声にならない声が出る。
激しい苦痛の中、力を振り絞った。
「さ よ な ら」
氷は脳を貫き、私は、命と■を失った。