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顕世界幻象  作者: Konoha
零章 : 魂ノ顕現
11/12

零章ノ壱 : 聲の歌

『聲よ、哀の華は陽だまりの耀へ。無情は残虐、殺戮、凄惨の限りを。天へ、この言の葉を。』

そう歌うように唱えると、依世界は顕現した。正と負の『コトノハ』は依世界を包み、12の魂が顕現。

───こと旧世界に置いては、突然変異の連続によるDNAウィルスが発生し、数多の死者が出た。

世界からは、神に転生するものが選ばれ始め、次々と別の依世界が顕現している。

本来、呼び出せる魂は2つまでだ。最低限の数の魂で、依世界を繁栄させる事が目標だからだ。

しかし、私『歌宮 華』に限っては、魂を12も呼び出せるチート能力を持っている。

12もあれば、世界の繁栄速度は異常なものに達し、200年で過去の中世ほどの文明が栄えるらしい。

『スタッツ。』

【歌宮 華】

『Lv』 : 120/99999

『HP』: 500000/999999

『耐久』 : 352000/999999

『魔素』 : 3000/3000

『種族』 : 神、歌姫、人間

『攻撃』 : 20/99999

『魔法攻撃』 : 10000/99999

『スキル』: 転移Ⅱ、光魔法Ⅴ、神聖Ⅶ、審判Ⅲ、次元門Ⅲ、神耐久Ⅹ、加速Ⅵ、自己蘇生Ⅱ、蘇生Ⅲ、吸収Ⅲ、魔素軽減Ⅳ、詠唱短縮Ⅳ、重複Ⅲ、浮遊Ⅰ、浄化Ⅱ

『エクストラスキル』: 歌姫のコトノハⅡ、顕現Ⅰ、拡張Ⅺ

『肩書』: 神、顕現神、歌姫

「変わってないか…。」

特に変わったこともない。仕方ない。

『アクセラ。』

〘加速Ⅳを発動。倍率が4xに変化します。〙

時の流れる速度は4倍になり、文明の繁栄を見守る。

徐々に建設される街や、商人が市を開くのを見て、安心していた。

しかし、何か障るものがあるのを感じる。

「あれは…!?」

──突然、ドス黒い瘴気が集まり、物語は黒く滲んでしまう。

『解除。』

倍率は元に戻り、普通の速度で時が進む。

『転移。』


林道に降り立った私。瘴気の出る方へと飛び、止まる。

黒い服を着た少女。その目は赤色へと変化している。

『透視。』

【Ωα■■©■】状態異常 : 暴走、オーバーライト

『Lv』 : 500/99999

『HP』: 100000/100000

『耐久』 : 50000/999999

『種族』 : オートマタ

『攻撃』 : 20000+/99999

『スキル』: スキャンⅢ、オーバロードⅣ、スピードⅣ、ダガーⅤⅩ、

『エクストラスキル』: EMP Ⅱ

『肩書』: 顕現された魂《聲》

「強い…」

《聲》の魂。機械少女で、無機質。

可愛い見た目をしているが、表情は豊かではない。感情を感じられないその顔は、どこか狂気を感じる。

──突然少女は距離を詰め、逆手に持ったダガーで、首の根を掻き切ろうとしてきた。咄嗟に『光、瞬閃。』と歌い、その死から回避した。

──と思いきや、予測していたのか先回りをされ、斬られる。

「あうっ!」

とてつもない痛みが走り、その場でうずくまり悶えた。

〚HP 75200/100000〛

───一発で8割以上…

『光、治癒。』

〚HP 99000/100000〛

回復。しかし痛すぎる。

「skill2.」

休む間もなくそう少女が言った途端、一瞬で周りに無数の棘が生え、遅延もなく私に飛来してくる。

『光、瞬閃。』

『光、彗星。』

2つの詩を歌い、そこから抜け出すとともに光速の彗星で反撃する。

少女に当たり、苦しそうにしている。

──今だ。

『浄化。』

少女の暴走状態の解除を試みる。

〘失敗。〙

──ダメか…

「EMP Activate.」

当たる…!

そう感じたときには、歌わず、反射で後ろに引いていた。

攻撃は…当たった…?のか…?

痛みも感じなければ、HPが減った様子もない。

チャンス。そう思い詩を歌う。

『光、閃光麻痺』

…しかし、魔法は発動しない。

──その隙を突かれ、少女の目は血の色のような赤に染まり、「Execution」と唱えた。

地面に叩きのめされ、絶命の一突きを食らう。

「がはっ…!」

吐血。危機的状況に瀕した私は、痛みと痛みで頭が真っ白になった。

〚HP : 199/100000

 状態異常 : 麻痺(60s)〛

──もう、死ぬんだな。長くはなかったよ…

正直、もう諦めたかった。

右も左も分からないこの空間で、生き続けなければいけない苦痛に、うんざりだった。

…その時、発動することのないはずのスキルが、発動した。

〘神聖Ⅶを発動。状態異常軽減を適用。〙

〘神聖Ⅶを発動。自動回復を適用。〙

〘神耐性Ⅹを発動。拒絶を適用。〙

〚HP : 2199/100000

 耐久 : 999999/999999

 追加効果 : 自動回復(1000HP/s 10s)    

      拒絶(10s)

 状態異常 : 麻痺(2s)〛

麻痺の時間が軽減され、残り2秒。

そして、解除された。

『光、閃光麻痺。』

まだ、死ねないか。でもいい。楽しもう。

詩を歌い、少女は身動きが取れなくなる。

そして、あの日顕現したときのように、詩を歌う。

『万物を浄化せよ。天へ、この言の葉を。』

少女は苦しそうにもがき、最後にひと暴れしたが、被害は出なかった。

少女から瘴気が抜け出し、物語から出ていった。

少女はその場に倒れ込み、寝ている。

残った瘴気の一部が、欠片となって落ちる。

割れないように、そっと大切にキャッチし、神界へと戻る。

『神界転移。』

物語は守られ、平和は訪れた。

『聲の物語』が、顕現される。

これは─────


ログを再生。


少女は、瞼を開ける。

その左右には、同型と思われる量産が、無数に確認できた。

戦争をするために量産された決戦兵器。

彼らは【ルース】と名付けた。

彼女たちは、特に感情をプログラムされることもなく、皆一定の音程を保ち、喋っている。

「システムの起動を確認。機体への異常は確認できませんでした。

─戦闘データファイルを確認。

─中央システムファイルを確認。

システム、オールグリーン。」

合成された機械音声がそう告げると、少女たちは歩きはじめ、背中にあるそれぞれの武器を取り出すと、歩き始めた。


──敵国の街に出た少女たちは、早速ダガーを使い、高速で走り、兵士たちを次々と殺害していく。

それはまるで、歩く死。

兵士の横を通ったと認識する頃には死んでいる。

決戦兵器。名前の通りの仕事を淡々とこなしている。

しかし、突然横にいた同型は打ち砕かれた。

原因を1秒で突き止め、0.5秒で加速、0.2秒で敵のスナイパーに到達、0.3秒で瞬殺。計2秒。

人々はこの業を見逃すはずもなく、いつしか恐れていた。

「終わった…のか…?」──兵士

その決戦はそれまでの死や苦労が嘘のように終結し、結果は言うまでもない。

国民は喜んだが、少女たちは感情を持ち合わせていないため、無表情で眠りについた。特異点を除いては。


ログ終了。


特異点は、あの少女。

シンギュラリティは起こっていたはず。

つまり感情も、芽生えていた。

でもなぜ、あんなに無表情だったの?

聞こえるはずもない疑問を投げかける。

〘ステータスの変化を確認。ステータスを表示します。〙

そこまで考えて、思考がシャットダウンされた。もやもやするところはあるが、とりあえず自分のステータスを見る。


【歌宮 華】

『Lv』 : 121/99999

『HP』: 506000/999999

『耐久』 : 355000/999999

『魔素』 : 4000/4000

『種族』 : 神、歌姫、人間

『攻撃』 : 21/99999

『魔法攻撃』 : 10000/99999

『エクストラスキル』: 歌姫のコトノハⅡ、顕現Ⅰ、拡張Ⅺ、機械の聲Ⅰ

『スキル』: 転移Ⅱ、光魔法Ⅴ、神聖Ⅶ、審判Ⅲ、次元門Ⅲ、神耐久Ⅹ、加速Ⅵ、自己蘇生Ⅱ、蘇生Ⅲ、吸収Ⅲ、魔素軽減Ⅳ、詠唱短縮Ⅳ、重複Ⅲ、浮遊、浄化Ⅱ

『隠しスキル』: 状態異常軽減Ⅱ(神聖Ⅶ)自動回復Ⅱ(神聖Ⅶ)、拒絶(神耐久Ⅹ)

『肩書』: 神、顕現神、歌姫

Lv : 120→121

HP : 500000→506000

耐久 : 352000→355000

魔素 : 3000/3000→4000/4000

攻撃 : 20/99999→21/99999

エクストラスキル : 《機械の聲》追加。

隠しスキル : 状態異常軽減(神聖Ⅶ)自動回復(神聖Ⅶ)、拒絶(神耐久Ⅹ)の詳細表示。

攻撃は絶望的なので最初から諦めている。

魔法に攻撃力は寄っているので、まあいい。第一、私は近接攻撃なんてしないしできない。

気になるのは、追加されたスキル《機械の聲》と、隠しスキル各種だ。

どんなスキルなのか…?

『詳細、《機械の聲》』

スキル : 《機械の聲》

無言詠唱が可能になり、末尾に『機械の言の葉よ、提唱せよ。』と付けると、魔法攻撃力が『1.5×スキルレベル』の数だけ倍になり、機械属性を持つ攻撃になる。

機械属性は、他の魔法で相殺されない

「…強くね?」

正直、予想外だった。ここまで強いとは思いもしなかった。他のも見る。


『詳細、状態異常軽減。』

『詳細、自動回復。』

『詳細、拒絶。』

隠しスキル : 状態異常軽減

自分に適用された状態異常を

魔素値50÷(スキルレベル×10)につき1秒短縮。(時限ではない場合は、一律で魔素値500÷(スキルレベル×10))


隠しスキル : 自動回復

スキルレベル×10秒の間、1秒間に1000HPを回復する。

隠しスキル : 拒絶

スキルレベル×10秒間、耐久を最大値まで上昇させるかわりに、攻撃力・魔法攻撃力が0になる。


しかし、こんな力があっても、突然この世界に飛ばされた私には、繁栄させる以外の目的がないし、そもそもそれが目的かもわからない。

先のように戦闘があるのは理解したが、痛みでそのうち病みそうだ。

「…なるようになるか。」

難しいことは考えるのをやめ、私はまた物語を見守り始めた。

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