十章 : 耀
「行くぞ」
そんな声が隣から聞こえ、歩き出す。
石造りのとても広い神殿。私達は、その中を探索している。
何か目的がないわけではない。昔から存在する伝説を証明するためにここへ来た。
それは、古来の十の物語。
少女の聲、悲哀の女性、虚無の魔法、天の無法銃、殺戮の文字、森の陽霊、悲惨な植物、華の門、虐殺の少年。───そして、不明なあと1つ。たった1つだけは、誰もわからない。
「おい、ここ見ろ。」
中央の螺旋階段を登り、一階層上の場所の壁。そこには、9つの…いや、汚されて見えない、もう1つを含めると、10個の壁画が描かれていた。
「やっぱり、もう一個は…」
相方がそう呟く。まるで予期していたかのような。
「…わかってたの?」
「私らの街の人間が1つだけ知らないってのもおかしな話だろ?多分、昔からこうだったんじゃないかなって。」
「なるほどね。」
そこからしばらく、螺旋階段を上がってはその階を探索。の繰り返しだった。
しばらくして、螺旋階段の床に不思議な模様が刻まれていることに気づく。
「これは…音符?」
「音符か?よくわからないな。ここでは初めて見た。恐らく、10個目の物語かもしれん。」
一番上の階は、まだまだ先だ。
しかし、手がかりを見つける。
「歌姫…ってところか…?」
新しい壁画。ドレスを着た女性らしき人物が、悲しげに歌を歌っている様子だ。
「…10個目の物語…。」
そうだな。と、相方は相槌を打つ。
そこで、神殿の上から突然、光が差した。
それは激しくなり始め、私達は引き寄せられるように螺旋階段を夢中で上った。
天からの、神光。
それに引き寄せられて、フラフラと、近づいていった。
「だめだ!」
目が覚める。しかしもう遅かった。
光に呑まれ、私は転移した。
───そんなアイツが消えていくところを見て、私もアイツの後を追わなければ。
そう、決意した。
いつだって一緒だったのに。
ここで離れるのはダメだ。
そして、私も光に呑まれ、意識を飛ばした。