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52話 謎

 リーザの能力を使える様になったのはいいが、その副産物としてか、殺せ、壊せという声が頭の奥でずっと響く。


 ずっと聞いていたら慣れるのかもしれないが、リーザはこんなのをずっと聞き続けていたのか。思考がかき乱されそうだ。


 この能力を使って、どう戦おうか。火を作ることはできる。電気は、地面の電気抵抗を下げて、相手に攻撃する時も、真奈は地面に足をつけていたから多分意味がない。


 そうか、男が電気を受けても平気だったのは、服の中に金属を仕込んでいたからかもしれない。そうすれば、電気の流れを逸らすことができる。


 能力の根源は黒い霧っぽい。そういえば、ぼく自身からもずっと黒い霧が出ているのは、時間のずれの能力故だと思う。


 つまり、この黒い霧が全ての能力の証なのだろう。


 死せるものよ、ということは、死んだ人の黒い霧を使っていると考えれば、色んなことができるのも納得がいく。


 じゃあ、男の腹のあたりから出てきた血を能力に使えば......


 男の黒い血を右手に少し掬い取り、再び唱えようとすると、唱える前に男から、黒い霧がぼくの目に向かって流れてくる。


 ぼくは唱えるのをやめて、そのまま能力を使おうとする。

すると、真奈の過去が見えた。


 ほんのちょっと前のこと、比奈が少年に別の血液を入れた時の様子を遠くから真奈は見ていたらしい。


 すでに少年は死んでいる。真奈は一回ぼくらの方に向かおうとしたっぽいが、すぐに止まる。真奈の右手は不自然に震えており、タイミングもまちまちにピクッと指だけが動いている。


 きっと今戦うべきでないと判断したのはそれゆえだ。


 能力を使うのやめると、後ろに気配を感じる。急いで距離を取ろうと思ったが、移動することができない。地面がツルツルになり、踏み込んでも足だけがどこかに滑っていき、倒れてしまった。真奈が右手をぼくの胸に向かって伸びてくる。そのまま、胸を手が貫通するが、何も痛くはない。


 真奈の手は黒い霧で覆われているが、急にその霧が消え始める。


 真奈の能力は抵抗を減らす能力だから、その能力が解除されると一気に力がかかって......


 貫通する。その結論に達した瞬間にぼくは焦り始める。


「死せるものよ。有うべき力を顕現し、風を起こせ」


 早口で唱えると、右手から風速2メートルくらいの風が吹き、摩擦力ゼロの床の上をぼくは少し移動する。真奈の手がぼくの体から半分ほど抜けたところで真奈の手の周りの黒い霧が完全に消える。


 脇腹がごっそりと持っていかれ、ウエストを測れば多分10センチくらい減ってる。


 言葉にできないくらいに痛いのだが、そんなことに思考のリソースを取られるわけにはいかない。


 地面が滑らなくなってる。真奈からの攻撃を警戒しつつ起き上がる。


 あれ? 真奈がいない。

嫌な予感がして、比奈の方を見ると真奈が地面をスケート選手のようにスムーズに滑っていく。


 今、比奈は弱い。脳裏に比奈が真奈に刺されている光景が浮かぶ。


 追いつくことはできない。


 となれば、リーザの能力を使うか?

いや、ここから何かを放てば比奈に当たるかもしれない。


 じゃあ、ぼくでもよく仕組みのわからない究極奥義を使うしかない、か。


 自然にこの結論に至り、ぼくは究極奥義を発動する。



 一瞬視界が黒くなり、明るくなるとともに目の前に真奈がいる。


 グサッ


 背後からナイフで刺される。


「え?」

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