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35話 渦の中心

「真奈、今はぼくの声聞こえてるよね」


「口の動きと発言が一致してるから、聞こえてると思う」


 やはり、触れていると能力が共有されるみたいだ。


 ぼくはまっすぐリーザに向かっていく。

その途中でボーガンを取り出し、上向きにして放つ。

そのまま、ナイフを持ってリーザに近づくと、突然リーザが足を滑らしたように倒れる。


 ラッキー。


 ぼくはナイフをリーザに振り下ろす。

すると、リーザは地面に手を当てた。その瞬間リーザが目の前から消えた。

ぼくのナイフはそのままの勢いで地面を打つ。その反動でぼくの手は少しの間痺れる。


 急に消えた......

どうしてだろう。


 ぼくが悩んでいると、急に矢が上方から飛んできた。確かにぼくは矢を飛ばした。けれど、2本も打った覚えはない。しかし、片方軌道がまるで上から撃ったような軌道なのだ。

とりあえずぼくはその矢を避ける。


 まさかとは思うけど......


「真奈、リーザがどこにいるか分かる?」


「ちょっと待って」


 真奈はぼくの手をつかんだまま両手を合わせる。そんなこと言っている場合ではないが、手がとても暖かい。


「いた。ちょうどここの真上」


 どうやって上に行ったんだ?


「私の能力じゃ上にはいけないな」


「ぼくが落ちてきた場所からならいけるかも。とりあえず行ってみよう」


 ぼくと真奈は白い部屋から、渦巻き型の地下道らしきところに戻る。

破壊していった壁のところを通れば戻れそうだな。


ヒューッ


 元ある道を見ると、松明の炎が遠くから消えていく。

気づくとぼくの一番近くにあった炎も消えたと思ったら、その瞬間ぼくの体から体重が奪われたかのように、地を踏む感覚がなくなった。

ぼくが次に地面に触れたのは、白い部屋の中まで飛ばされた時だった。


「いたたた。何が起きたの?」


 ぼくの隣で腰をさすりながら真奈が言う。


「よく分からない。けど、すごく強い風が吹いたような感じだと思う」


 どうやって人を吹っ飛ばすレベルの強風を起こしたのだろう。

今までのリーザの動きを振り返ると、1番怪しいのが厨二病チックな詠唱だ。

けれど、先程詠唱をせずに消えた。それだけでなく、地上に出た。


「とりあえず、もう一回チャレンジしてみようか。風に飛ばされたらそれはそれだと思うし」


 そう言ってぼくと真奈は再び渦巻き型の穴に突入する。

風が来た時は......ってか、


「ねぇ、真奈。風の抵抗って減らせない?」


「あー。多分減らせると思うよ」


「じゃあ、風は頼むね」


「分かった」


「じゃあ、リトライしようか」


 ぼくは真奈と進む。一度だけ風が吹いてきたような気がしたが、それ以降は一度も吹いてきた感覚はなかった。


 壊した壁のところを少し進んだその時だった。

何かが頬をかすめた。

頬に痺れるような痛みが走る。


「大丈夫?」


 真奈がすぐに心配してくれた。


「うん。問題ないよ。かすっただけだから」


 何がかすったのかは分からなかった。まったく視認することが敵わなかったのだ。

ただ、直接当たってしまえば、死に至りそうなくらいに強烈な攻撃だ。

しかし、ここで下がるわけにはいかない。なにせ時間がやばいのだ。


 またしばらく歩いていると、右の方から、黒い球が飛んでくるのが見えた。

ぼくはとっさにナイフで黒い球を叩いた。

その瞬間、バチッという音がして、白い光が刹那の間見えた。


 そして、ぼくのナイフは折れたものの黒い球の軌道をそらすことに成功した。


一瞬光ったことから考えるに、黒い球は電気を帯びていたのだろう。

そういえば、電気を帯びていれば渦巻き型に動いて加速するシステムがあったような気もする。

そのシステムを使えば、あの速度で飛ばすことも可能かもしれない。


 となると、渦の中心に向かうにつれ球の速度は遅くなる。それなら、進むのみだ。

それと、一旦渦巻きの中心を見ておきたい。


「真奈、土の壁くらいならすぐに通り抜けられるよね?」


「もちろん」


「それじゃあお願い」


 そう言って、ぼくは真奈に先導されるように、渦の中心に向けて少しずつ進んでいく。

壁をスルリスルリと抜けていくうちに、再び、少し開けた場所に出た。


「ゲホッゲホッ。あ、ごめんね」


 真奈が咳き込む。


「いや、構わないよ」


 そう言いながらも、ぼくは目の前の光景に嫌気がさした。そういった類の光景にはとっくに慣れていたと思っていたのに......


 その場所は、さっきの真っ白い部屋とは違い、ただの土の壁でできた空間だった。しかし、土の壁とは言うものの土で固められているようには見えず、真っ黒だ。

黒くなっている原因は間違いなく、足元に転がっている黒い塊、それどころか塊ですらもなくなっている。黒い塊は解体されて、熊の皮を広げたやつみたいな見た目になってしまっているものがほとんどだった。

ただ、黒い塊はそれこそ固まっているため不格好に広げられており、何の目的があったのかは全く分からない。分かることは、悪臭が酷すぎること、それと、頭がぼんやりとしていること。


「出ようか」


 ぼくはここを危険と判断したのだ。


「そう......ね......」


 その言葉と共に真奈がぼくに倒れてくる。

それと同時に左手にネタァとまとわりついてくるような感触がした。しかし、その感触は血とは少し違った。


 左手を見てみると、真奈から黒い血が流れてきていた。

投稿が遅くなってしまいました......

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