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2話 約束

「ぼくを殺して」


 ぼくが死にたいから口にした言葉ではない。比奈に生きて欲しいから口にしたのだ。


「いやだ」


 しばらくして、返事が来た。


「ルール見たでしょ? 1人しか生き残れないんだよ?」


「それなら、残りの2人になってから。それから、言って。私が今あなたを殺しても、私が生き残れるか分からない。それなら、あなたが守ってよ。カッコつけるのもいいけど、それからだよ」


 今までで一番優しい声だ。それでいて、はっきりとした言葉だった。


 その通りだ。その通りじゃないか。


 最後まで一緒にいたい。


 こんな死亡フラグを立てても、ぼくは怖くない。最後には殺されるのだから。

そのためには、ルールなどを把握しないといけない。

ぼくは再びプロフィール画面を見た。


 能力 10秒


 こう書いてあった。よく分からない。それ以上何も書いていない。

ルールはさっき見たとおり。ただ、最後まで残った人はどんなことでも叶えてもらえるらしい。


 倍率70億のゲームは普通に考えてぶっ飛んでいる。けれど、比奈をその倍率70億に勝たせるのが、ぼくの全ての望みでありしなければならないことだ。


「比奈は何の能力って書いてある?」


「微生物って書いてた」


 おそらく微生物を使って戦うのだろう。って、そのままか。比奈に人を殺させてしまうのは、すごく辛い。けれど、あんな死に方をさせたくはない。


「それじゃあ、行く前に少し顔を洗ってきてもいい?」


 少しくらい見た目を良くしておきたいと思った。


 ぼくは鏡の前に立つ。しかし、やせ細っていて、ばさばさの髪型で、みずぼらしい見た目のぼくは鏡の中にいなかった。不思議に思っていると、鏡の中にもそんなぼくが現れる。


「もしかしたら」


 鏡に向かって手を振ってみる。遅れて鏡の中のぼくが手を振り返す。壁にかけられた時計を見ながらもう一度手を振ってみる。鏡の中のぼくが手を振り返すまで10秒かかっていた。

なるほど。ぼくの姿はみんなには10秒遅れて見える、というのがぼくの能力らしい。たとえばぼくが今バク転をしたとしても、誰もぼくがバク転をしたことには気づかない。そして、ぼくがバク転をした10秒後に初めてみんなはぼくがバク転したことに気づくのだ。

つまり、拡大解釈すると、ぼくはみんなより10秒早く動けるということになる。


 洗面所から戻ってきて比奈に言う。


「さぁ、いこう」


 比奈が頷く。10秒遅れて。

ここからが本番だ。絶対に比奈を生き残らせる。改めてそう決意した時、


 パンパカパーン


 気が抜ける音がして、雑なルール説明をされた時と同じ声が聞こえる。


「今から君たちに一つゲームをしてもらう。世界中に、宝物をまいた。それを持って、1日間逃げてもらう。成功すれば、すばらしい報酬をあげよう。ただ、1日1人殺すルールは変わらないものとする。プロフィール画面をみれば、宝物は分かるようにしておいた。さぁ、誰が残るかな?」


 声の主はすごく楽しそうだ。今すぐにでも消えればいいのに。


 仕方なく、プロフィール画面を開く。先ほどまで空いていた場所、能力が書かれていたところの隣に宝物マップというものが増えている。

しかし、それを見ようとした時、


「は?」


 突然、周りからたくさんの人が襲いかかってきた。


 どうすれば......

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