13話 嘘つき
炎男は死んだ。思っていた通りになった。
高火力系統はこうすればいくらでも殺せる。
念のため、プロフィール画面を時間のずれを解除してから見る。周りの人に覗き見されるわけにはいかないからだ。
殺した人数は増えていない。よし。これである程度殺し放題だ。
さぁ、ここからが本番だ。何人減らせるかな。
声を少し張ってぼくは言う。すると、戦場が一瞬静かになった。
「ぼくはすでに今日、何人か殺している。皆もしかと見たはずだ。あんなルール半分嘘だ。信用できないって? なら、もう1人」
そう言って、また、近くにいたうちの1人に手のひらを向ける。
そうすると、手のひらを向けられたやつはまたパタリと倒れる。
「ほらね? 死なないでしょ?」
そう言った途端、戦場は、再び喧騒に包まれる。
この戦場にいるのはざっと200人。さて、何人が残るかな。
それから、ほんの10分ほどで喧騒は完全に止んだ。そこら中に、黒い塊が転がっていた。
「あーあ」
余りにも可笑しくて、驚き呆れてしまう。何人かの気づいて逃げたやつら以外、全員死ぬだなんて。まぁ、最後の一人はぼくがきっちり殺したのだけれど。
『2人以上殺してはいけない』
そのルールを逆手に取ったのだ。
まず、周りの人が倒れたのは、比奈の能力のおかげだ。血を吸う微生物を周りのやつにぼくの動きと合わせて入れて、貧血を起こさせて失神させただけで、殺したわけではない。
そして、炎男については、火の玉にぼくが当たったように見せかけつつ、周りで気絶させておいた2人を放り込んだのだ。ぼく自身は炎男から見ればズレているから当たらないし、放り込まれた2人は、灰になるから証拠は残らない。しかも、2人殺したことで炎男も死ぬ。
後は簡単。それらのことを全てぼくがしたことにするだけ。
そんなことで4日目も終わった。
5日目。生存者は4000万人を切っていた。
テケテケテン
軽快な音が鳴る。
さぁ、まだ残ってるしぶといみんな!
今日から5日間に渡る大型イベントをするよ!
報酬たっぷり!
報酬は新しい能力のプレゼント!これから先が有利になるね!
ルールは簡単!
みんなは今まで殺した人数が初期ポイントとして入るよ!
そして、殺した人が持ってたポイントを全て奪って、さらに殺した人の分の1ポイントがさらに加算されるよ!
つまり、5ポイント持ってる人が6ポイントの人を倒したら、5+6+1=12ポイントになる!
バカな人たちにも分かるように言うと、とにかくたくさんポイントを稼いだら、報酬があるってこと!
後、ここまで生き残ったご褒美に今から一つだけ有益な情報を与えるよ!
それじゃ!
すぐにこのルールが飲み込めてしまった自分がなんか悲しい人になった気がした。
それはそうと、有益な情報って......
「有益な情報を教えにきたよ」
頭の中で声が響く。
「比奈は、嘘をついてるよ」