あとがき
ここまでご覧いただきありがとうございます、作者のイヴの樹です。
中学生の頃はと問われれば、ほぼ創作に心血を注いだ記憶しかありません。ラノベという言葉がなかったあの時代、ファンタジー小説はまだ田舎の本屋に少なくて(わざわざ取り寄せてもらっていたレベル)、アニメやドラマは見せてもらえず、ど田舎の図書館へはバスを乗り換えなければ辿り着けないという……そんな状況下で物語の世界に入り込むには、自分で想像するのが一番早くてお手頃だったのです。
今はいいですよね、インターネットでどこまでも物語の海に潜り込むことができるんですから。書くより読む方が好きだなと気付けたのは、大人になってからです。
でも世界の狭かった子どもだったからこそ、『冒険心』や『成長』『家族の愛』を作品にギュッと詰めこんでいられたような気がします。
こつこつ貯めたお小遣いで買ったワードプロセッサや、台本形式で書き溜めた作品を記録したフロッピーディスク。それらは大人になってしまった今でも宝物です。
そんな宝物ですが、娘が中学生になったことをきっかけに昔の記憶が甦り、ふと倉庫の奥から探し出してみました。まるでタイムカプセルを開くようにドキドキしながら押した電源ボタン。フロッピーを読み込むのに三分以上かけて、ウィーンウィーンと騒音を撒き散らしながら画面にアップされた原稿は、笑ってしまうくらいお粗末な出来で……
ああ! 恥ずかしい! やり直し!!!
と、ほぼ深夜のテンションでリライトし始めたのが、この『少年たちは、それを探して旅に出る。』です。かなり設定は変えてしまったんですけどね……。
無事に完走できて、ホッとしたような、寂しいような。
心残りと言えば、最後が重っ苦しい感じになってしまったことでしょうか。もっとライトなノリでいきたかったのですが、文章や構成って難しいですね。
読者の皆様、ここまで応援いただきありがとうございました。
次のページからジャックの後日談(短編)が始まりますので、よかったら最後までお付き合いください。
2022年11月吉日 イヴの樹




