男の娘の戦利品
戻ってきてから色々あったけど、スペードに確認して欲しいものがあるのを思い出して聞いてみることにした。
「スペード、ちょっと確認欲しいんだけど。バジリスクの戦利品がよく分からなくて」
そう言うとスペードはやっぱり初心者だねって勝ち誇った顔をした。
それに対してライトは少し引きながら戦利品を出した。
それを見たスペードはとても驚いた反応をして、身を乗り出してきた。
「これって!ゲーム発売前から言われてたモンスターシリーズ!」
「モンスターシリーズ?」
「モンスターシリーズはこのゲームで1番のレアアイテムの一角です。まさか、大半はボスモンスターが所持してるんでしょうか。奴ら一体一体に用意されてるから納得がいきます。それに、ボスモンスターは撃破されたらそれ以降に出ませんから」
どうやらライトがゲットした装備は超レアアイテムだったらしい。
所々にランベンダーがあしらわれた黒のドレスアーマーの一式。
スピードを殺さないように速度上昇と重量減が付けられてるのはライトにはグッドだった。
「なるほどね。しかもこれを調べてわかったけど、モンスターシリーズは称号を得た人しか着れないことになってるから、完全に僕の物ってことだね」
「そうみたいですね。しかも、自動修復が付与されてるから壊されてもすぐに治るみたいですし、装備自体に毒も仕込まれてるから敵も手を出しにくいでしょう」
「てことは、今回のイベントにこれを持っていけば勝てるのかな?」
この会話でイベントとモンスターシリーズを並べてスペードはあることに気づいた。
それに気づいた瞬間に「露骨ですね」と呟いてちょっと呆れた。
モンスターシリーズの力を宣伝させて、他の人達に欲しいと思わせるのが目的だろう。
本当にやり方が露骨だ。
「まぁ、対策された終わりですけど、最初のイベントだから簡単には負けないと思います」
「なら、スペードも来なよ。この領域に」
時々見せる可愛いイケメンにスペードはドキッとした。
それにまんざらでもない表情で返した。
「分かりました。僕も明日挑戦します。ダメだったら手を貸してくださいね。これでもパーティーなんですから」
「分かってるよ。僕に任せなさい」
互いにそう言って、ふふっと笑った。
それから2人ともリアルの時計を見てそろそろ切り上げようと思った。
それで先に動いたのはスペードだった。
「そろそろいい時間だから切り上げましょう。それじゃあ、また明日学校で会いましょう」
そう言ってスペードはログアウトした。
「学校で会いましょう」それにライトは反応して尋ねようとしたけど、すぐに逃げられてしまった。
「学校で会いましょう?もしかして知り合いだったのかな?」
ライトは記憶の中でスペードの顔を検索した。
でも、残念ながらヒットしなかった。
一体どこでスペードは同じ学校だと分かったのだろうか。
不思議に思いながらライトもログアウトした。