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R. U ─赤の主従たち─   作者: 幻斗
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竜崎 赤斗と佐々 理子 2 ※短文です。

(あの綺麗な女性も話を聞いていたのね。)

理子はなんだか恥ずかしくなった。



「佐々さん、君が見た青い色は、目の錯覚でもモニターの故障でもない。なぜかはわからないが、そこにいる颯も、ここにいる律も私と初めて逢ったときに同じ体験をしている。そして、そのことは『R.U』の幹部たち全員に当てはまることなんだ。このことから何が分かるかね?」


赤斗の問いに理子は即答した。

「三つのことが分かります。まず、竜崎会長が何らかの能力で色を見させていること。二つ目は、色を見た人間のみが幹部になっていること。そして三つ目が私に当てはまることか疑問ですが、色を見た人間は幹部になれるくらい優秀な人間だということ。」


「私が思い付いたのは以上です。」


「うむ、その三点はまさに皆の意見と一致する。ならば私の言いたいことが君には分かるはずだ。」


「私も優秀なはずだから自信を持てと仰りたいのですか?」


「その通り。しかし、幹部たちの一部を除き、皆が最初から優秀だったわけではない。あることをきっかけに個々の能力が開花したというか、覚醒したというか・・。」


「きっかけとは何でしょうか?」


「今はそれを知らない方がいい。いや、知らなくても自然とその時はやって来る。まるでそう決められていたかのようにね。」


「・・・・」


「さて、私の話はこれで終わりだ。私の提案に対する回答は急がなくていいから、じっくり考えてほしい。それからお母様のことは、この件に関係なく、責任をもってリハビリのお手伝いをさせて頂くから安心するように。」

「では、失礼する。颯、あとを頼んだぞ。」


その言葉を最後に竜崎 赤斗は画面から消えた。


「お疲れ様でした、佐々さん。今日はもう遅いから私と一緒に帰りましょ。車で送るわよ。」


「ありがとうございます。ですが、少し頭の中を整理したいので一人で帰りたいと思います。」

理子は丁寧に別れの挨拶をした後、南雲総合医療センターを出て家路についた。


理子の答えは既に出ている。ただ、一つだけ引っ掛かることがあるので即答を避けた。

自分は竜崎 赤斗の期待に応えられるのだろうか?役に立てるだろうか?


佐々 理子の思考はすでに「従」のそれになっていた。




(まだまだお役に立ててないなぁ・・)

赤斗の肩を揉みながら『R.U』トップの利益を誇る、システム開発会社『synchronicity』の社長兼第二秘書の理子は、出会った頃を思い出しながらつぶやいた。


『R.U』の中で断トツの利益を出しているとはいっても、それはチーフSE『孫 麗華』に依るところが大きく、自分は単なる纏め役に過ぎないと理子は自覚していた。


だが、竜崎 赤斗は利益云々より、理子の危機管理能力を高く評価していた。

理子はある種の勘が鋭く、危険を事前に察知することができる。例えるなら、戦場で敵の伏兵を見破り、味方の危機を未然に防ぐ知将の如くだ。


そんな理子に『R.U』はこれまで幾度となく救われてきたのだが、当の本人はそれほど自分のことを高く評価出来なかった。

もっと自信を持ちなさい、と、律をはじめとした姉妹たちから言われるのだが、この性格はこの先も直らないな、と理子は諦めている。


(それでも主様のために頑張らなくちゃ。)


そう心に誓いながら、赤斗が「気持ちよかったぞ、ご苦労さん。」と言ってくれるまで、気持ちを込めてマッサージをする理子だった。



『R.U』を読んでくれる人が少しずつ増えてきて嬉しいです。

読者の皆さんは『主従関係』というと何を連想しますか?

ちょっとエッチな方でしたらSMの『ご主人様』と『奴隷』、そうでない方は『ご主人様』と『メイド』『執事』といったところでしょうか。

でも、私が書くのは『義経』と『弁慶』のような主従です。

弁慶は義経のために死ねますが、奴隷やメイドは果たしてご主人様のために死ねるでしょうか。

主のために命を懸ける従者は、主に対してどんな気持ちでいるのか。

そんな従に対して、主は何を想うのか。

そこのところを上手く表現できたら嬉しいなと思っています。

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