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R. U ─赤の主従たち─   作者: 幻斗
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プロローグ


─犬は飼い主のために何度でも生まれ変わり、飼い主の元に帰ってくる。ならば人間は・・・─



モミ、モミ、モミ、モミ、モミ、モミ・・・。


静寂が支配する一室で、かれこれ一時間ほど、微かなこの音だけが室内を支配している。

時折すまなそうに女のため息が混じるが、そのため息から後ろ向きな感情は感じられない。


その一室に置かれた革貼りのチェアに、一人の男が煙草を燻らせながら座っている。

男の顔からは何の感情も読み取れず、時折煙草の灰を灰皿に落とす仕草だけが彼の唯一の行動と言ってもよいだろう。


やがてその時はやって来た。

男が初めて口を開き「もういいぞ。」と誰かに向けて言った。


すると、背中の方から「気持ち良かったでしょうか?」という女の声が聞こえた。


「相変わらず上手いな。」と、男が褒めると、「お褒め頂き、とても嬉しいです。」と、女が答えた。


どうやら、部屋には少なくとも二人の男女がいて、女は男にマッサージしていたらしい。


男の名は、竜崎 赤斗せきと

日本人でありながら、イギリス女王より男爵位を授与された為、世界では『Red,Baron』という名の方が知られている。

身長185センチの偉丈夫だが、最近従の一人に陰毛の白髪を見つけられ、やや落ち込み気味の43歳。


総合医療センター、アパレルメーカー、スポーツクラブ、システム開発会社、広告代理店、それらを束ねる企業連合体『Red Union』、通称『R.U』の会長である。

連合体といっても各分野に一社しかない弱小連合だが、それぞれが一騎当千の力を持ち、今や世間から何かと注目を集める存在となっている。


それらを束ねて頂点に君臨しているのが、この竜崎 赤斗である。


その竜崎に、一時間あまりマッサージしていた女の名前は、羽根川はねかわ りつ


母方の家系が生粋のゲルマン人のハーフで、四ヶ国語を話す才女なのだが、生まれが名古屋だからか時々出てしまう三河弁が悩みの種である。


日本の中学校卒業と同時に、飛び級でアメリカのハーバード大学に進み、僅か二年で博士号を取得、かつ『ハーバード10』の称号まで獲得した桁外れの天才である。

しかも、彼女のWikipediaに『神は二物を与えず』という言葉が無いかの如くその容姿までも至上で、ミスハーバードの栄冠さえ手にしたほどであるが、神はさすがに三物を与えることはなく、彼女の運動神経は皆無に等しかった。


「では、今日の予定を確認しようか。」

「はい、主様。」



この竜崎 赤斗と羽根川 律を中心に物語は進んでいく。


一方、アジアの超大国「中華人民共和国」で、夜な夜な不思議な夢を見ている老婆がいた。




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