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第92話 破天荒な喧嘩

一人旅から帰って来たその日、俺は美玖の部屋に居た。

こうなったのは俺が帰って来た時に起こった事が原因だ。

美玖は俺が一人旅に行ってた事をどうやら昨日知ったらしい。いつもなら怒ったりするのだが、一人旅と聞いてだれかと一緒ではない事を確信した美玖は優の出迎えの準備をしていた。

だからこそ、出迎えの時もいつも通りだったのだ。しかし、その後からが酷かった。

帰って来た俺の後ろには、何故か燐と奏蘭さんも立っていたのだ。美玖と一緒に待っていた母さんも驚いていた。

二人と一緒にいる事情を説明した後、美玖は俺の荷物を部屋まで持って行こうとしてくれたのだが、奏蘭さんの余計な一言のせいで事態が一変してしまった。


「優くん、昨日はごめんなさいね」

「別にいいですよ」

「それなら、また今度抱かせてくれない?」

「はぁ!?何言ってるんですか!?」

「お兄ちゃん!!それってどういう事なの!!」

「お、落ち着け美玖。これにはちょっと色々あってだな・・・!」

「姉さん、ちょっと外でお話しましょうか」

「えぇ、いいわよ」

「それでは私達はこれで」

「いやいや、ちょっと待てって!」

「お兄ちゃん!私の質問に答えてよ!!」


事件を起こした張本人が消え、俺だけが取り残された。目の前にいるのは激怒している美玖とちょっと顔を赤くしている母さんの二人だけだ・・・いや、母さんが恥ずかしがるところあったか?

そして母さんは足早にキッチンへ戻って行ったが俺は美玖の部屋に連行された、というわけだ。

美玖は現在進行形でお怒り状態だ、これは対応を間違えるともっと厄介になりそうだな・・・


「それじゃあ説明してよ、お兄ちゃん」

「あの時は会った時から既に奏蘭さんが酔っ払ってて、燐が風呂に行くからその間見ててくれって言われて」

「それでどうしたら抱かれるのよ」

「あの人酔ってると何でもかんでも抱きつく癖があるんだよ、前もそうだったし・・・」

「それは抵抗しないお兄ちゃんが悪・・・」

「知ってるだろ、あの人力めちゃくちゃ強いんだぜ」

「そう、だったわね」

「もう、これで充分だろ?別に俺から行ったわけでもないんだし。それにあのセリフも多分、お前をからかっただけだと思うぜ」

「ごめんなさい、お兄ちゃん私また早とちりしちゃった」

「いいんだよ、別に」

「それよりもさ、お兄ちゃん」

「なんだ?」

「抱きつかれるの嫌がってた割には結構嬉しそうな顔してるのは、なんでかな?」

「・・・」

「何か言ってくれないとわかんないよ?」

「お、俺腹減ったから飯にしてくるわ!!」

「あ、待ってよお兄ちゃん、まだ話終わってない!!」


優が必死で美玖の誤解を解いている時、燐の家で奏蘭の尋問が行われていた。


「姉さん、さっきのはどういう事なの!!」

「なんでもないわよ、ただちょっとからかっただけ」

「それだけじゃないでしょ。・・・前から聞きたかったんだけどさ、結局姉さんは私の敵なの?それとも味方なの?」

「どういう意味かな?」

「優さんの事、どう思ってるのよ」

「可愛い子だよねー、反応も可愛いしさ」

「はっきりしてよ!姉さんは、どっちなのよ!!」

「・・・私は燐ちゃんの味方だよ、今はね」

「今は、って」

「でも大丈夫、私は燐ちゃんから取ったりしないから」

「その言葉、信じてもいいのよね?」

「えぇ、もちろん。あなたからは絶対に取らないわ。そう、あなたからは、ね」

「・・・そう」

「あら、何か言いたげね」

「別に、私のすることに手出ししないなら何しても構わないけど。でも、私の邪魔はしないでよね。姉さん」

「あら、怖い怖い・・・」

お読みいただきありがとうございました。

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