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第87話 破天荒な三者面談

みんなでプールに遊びに行ってから数日経ったある日のこと。

夏休みの課題を済ませ、コンビニにアイスでも買いに行こうと思っていたその時、突然部屋の扉が開いた。

そこには母さんがプリントを持ちながら立っていた。


「優、今から学校に行くわよ」

「え、嫌だよ。暑いからアイス買いに行きたいんだけど」

「そうじゃなくて、今日が三者面談の日なの!」

「あー、そういえばそんなものもあったな」

「ほら、遅れるから早く支度して!!」

「へいへい」


母さんに部屋から出てもらい、制服に着替える。

そういえば三者面談とかいうものもあったな。色々とありすぎてすっかり忘れていたが。

財布は・・・一応持って行くか。帰りにアイス買いたいし。

準備を済ませて下に降りると既に母さんが待っていた。ついでに姉さんもそこにいた。


「それじゃ、行きましょうか」

「えぇ、そうね!!」

「待て待て、母さんが行くのはまだ分かるが、どうして姉さんも来ようとしてるんだ!?」

「そりゃあ優の成績が心配で〜」

「ただの運転手よ。車で行くから運転してもらう、それだけよ」

「信用できねぇ・・・」

「まぁまぁそんなこと言わないでさ!!」

「遅れると悪いから行くけどさ、余計なことするなよ?」

「わかってるって!!」


俺達は姉さんの運転する車に乗り込んだ。

乗っていれば分かるんだが、姉さんは車の運転がめちゃくちゃ上手い。

仕事で運転することに慣れてるからこんなに上手いのかそれとも、ただの才能なのかは俺には全くわからない。

そうこうしている間にもう学校に着いていた。

家からは多少時間はかかるけど、別に歩きでもよかったんじゃないのか?

何か車で来る理由でもあったのか?まぁ、俺にとっては楽だったから別になんでもいいんだが。

姉さんが車を止めに行っている間に俺と母さんは学校に入って行った。

教室に向かうと、俺の前の人がまだ面談中だった。

しばらく待っていると、ドアが開き面談を終えた生徒は戻って行った。

そしていよいよ俺の番になった。少し緊張しながら、教室のドアを開ける。

教室内では先生の前に二席の空席があった。そして、そこに座るように手を向けられた。


「本日はお越しいただきありがとうございます。それでは、早速面談を始めさせてもらいますね。まず、優くんですが学校内では生徒会の役員として活動していて、生徒達の良い手本となるような素晴らしい行動をされています」

「まぁ、それはとても素晴らしいわね」

「勉強面でも引けを取らず、テストを重ねるごとにどんどんと実力を伸ばしていってますね」

「そうですか。家ではあまり勉強するところは見かけなかったので心配でしたけど、それなら大丈夫そうね」

「ご家庭での優さんはいかがでしょうか?」

「そうですね、家では家事を手伝ってくれたり、休みの日なんかはご飯も作ってくれたりしてくれる、とってもいい子ですよ」

「ご家族の手伝いまでされるとは、本当によくできた息子さんですね。ところで、進路はもう決まっていますか?」

「え、えぇまぁはい。とりあえず大学に進学しようかと」

「なるほど、進学を希望と。お母さんから何か質問はありますか?」

「先生に生意気な態度とったりしてませんか?この子たまにそういうことがありますので」

「あー・・・まぁ子供はそれくらいが可愛いですよ。えぇ」

「先生がそうおっしゃるのなら・・・」

「では最後に、成績表になります」

「わぁ、すごいわ。4と5ばかりじゃない」

「はい、優さんはとても優秀ですのでこの評価も妥当かと」

「これからも頑張りなさい、優!」

「わかってるよ」

「それではこれで面談は終わりです。ありがとうございました」


ふぅ、やっと終わった・・・

あまり怒られることはないってことは分かってたんだが、やっぱりこういうのは変に緊張するなぁ。

まぁ終わったことだし、さっさと帰ってゆっくりしたいな。

学校の外に出ると、すぐそばに姉さんの車が見えた。

母さんより一足先に姉さんの車に乗り込むと、姉さんがこちらに振り向いた。


「どうだった、面談は?」

「別に、普通だったよ」

「さすがは私の弟だね。帰りにコンビニ寄るでしょ?」

「寄りたいけど、よく分かったな」

「だって今日暑いじゃない?」

「・・・つまりは思考が同じだったってことか」

「そういう事。ほら、母さんも乗ったし行くわよ」

「はいよ」


先程の宣言通り、家に帰る前にコンビニに寄り、母さんからもらったお金で人数分のアイスを買って帰った。

姉さんが車出したのって、もしかしてただアイス食べたかったから・・・?

いや、流石に姉さんに限ってはそんなことないか。

お読みいただきありがとうございました。ご意見ご感想などもよろしくお願いします。

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