第84話 破天荒な夏休み
昨日、燐の家でゆっくりして疲れが取れたのかその後の生徒会活動は普段の倍以上動けていた。
やはり、休むことは大事だな。そして気づけば、夏休みに突入していた。
が、夏休みでも俺達生徒会は仕事が残っているので、学校に行かなければならなかった。
せっかくの夏休み、玲狐も家族で旅行に行ってるからしばらくゆっくりできると思ってたのに・・・
今となっては、旅行に行ってる玲狐が羨ましい・・・
にしても、流石にまとめる資料が多過ぎないか、これ?
「優さん、この資料手伝いますね」
「あ、あぁ。ありがとう。助かるよ」
「亜衣さん、そっちの進捗どうですか?」
「一向に終わる気配が無いわねぇ・・・」
「明日に持ち越して今日はこれで終わりません?」
「それもそうね。今日はこれで終わりましょうか」
夏休みに入ってから三日が経過したが、資料の整理が一向に終わる気配が見えなかった。
そんな時だった。突如生徒会室の扉が開いて先生が入って来た。
「みんなゴメン!渡す資料の量間違えてた!!」
「「「ええええええ!!!!」」」
先生の説明によると、新人の事務の人に資料の印刷を任せていて、資料もその人が印刷したのだが同じものを二回刷っており、結果的にこちらに来た量が二倍になっていたらしい。
俺達も慌てて確認すると、明日に持ち越そうとしていたものと初日に終わらせた資料の内容が完全に一致していた。
全く人騒がせなことを・・・ん?てことはつまり明日からは夏休み中に学校に来なくてもいいのか!
これでようやく休息が取れる、そう思っていると先生が何かのチケットを俺達に渡して来た。
近くのプールの入場券のみたいだ。今回のミスのお詫びとして受け取って欲しいとの事だった。
プールか、そういえば最近行ってなかったな。いい機会だし、行こうかな。
「丁度いいし、このメンバーで行くか?」
「私は構いませんよ」
「わ、私も優さんの意見に賛成です」
「私も賛成するわ」
「え、え、え?じ、じゃあ私も・・・」
「決まりだな。それじゃあ来週の日曜に駅前集合で」
「各自準備はしっかりとね。じゃ、今日はおしまい!」
それにしても、資料の量を間違っていたとはな。
気づかなかった俺達にも非はあるが、先生達も気づけたような気がするんだが。
まぁ、気にしてても仕方ないか。いいチケットも貰えたし。とりあえず明日、水着でも買いに行こうかな。
なるべく早めに買っておいたほうが後々楽になりそうだしな。
・・・って思ってた時期が俺にもあったわけで。
「り、燐さんはどんな水着を?」
「私は、あまり派手すぎないものかしら」
「今年の新作どんなやつかなぁ」
「あ、これ良さそう・・・で、でも優くんに派手とか思われないかしら・・・」
まさか、燐達も買いに来ているとは・・・合流しないよう、時間までずらしてたのに。
こ、これは燐に見つかる前に逃げた方が・・・
「あら、優さんもいらしてたんですね」
「あ、あぁ。偶然だな」
「ふふ、今回のは見なかったことにしておいてあげますけど、今度は無視して行くのはやめてくださいね」
「わ、わかった・・・」
何となくだが、見つかる事は分かってたんだよな。
七海が出かけた時点で行くのをやめた方がよかったかな。
・・・いや、そうしてもおそらく燐は、俺のところに来ていただろう。
燐の包囲網をくぐり抜ける策は無いんだろうな。
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