第82話 破天荒な体育祭再び 後編
『まもなく、最終種目の全員リレーが始まります。各クラスは準備をしてください』
遂に最終種目であるリレーが開始された。
最初は一年生からスタートだな。美玖は・・・アンカーか。
まぁ、あいつならアンカーなのは確実なんだろうな。っと、自分の仕事に集中しないとな。
「位置について、よーい、ドン!」
みんな速いなぁ、ここからしばらくは出番はないからそれまでは見物してますか。
美玖のクラスが今の所一位か。なかなかやるな。
でも後ろの人達と対して差は無いな。いつ抜かれるかわからないからまだ油断できないな。
・・・いよいよ最後だな。美玖のクラスは、三位か。一位の人とも距離があるな。
でも、これくらいなら問題ないだろう。美玖の走りを見ながらゴールテープの準備をしていた。
前の二人をすごい勢いで抜いていき、そのまま一位でゴール。さすがだな。
「お兄ちゃーん!ちゃんと見てた?」
「あぁ、見てたぞ。相変わらず凄いな」
「そりゃそーよ!なにせ燐さんに教えて貰ってるんだから!」
「なるほどなぁ。それは凄いな」
「次はお兄ちゃんでしょ、良いとこ見せてよね!」
「任せとけって!」
いよいよ、俺達の番か・・・緊張するなぁ。
他のアンカーは誰が居るかな・・・お、クレアがいるのか
あいつそんなに速かったっけか?
お、始まったな。お、初めはうちのクラスが一位か。このままの調子でいってくれよ!
中盤にさしかかって来たな。まだ一位はキープできてるか。この後の燐も距離を稼いでくれるだろうしだいぶ良い流れだな。
よし、予想通りだ。燐が一位のまま来てくれた。このまま一気に突っ走ってやるぜ!!
俺は全力で走った。後ろには目もくれずひたすらに走った。
しかし、後ろから物凄い速さで迫ってくる何かがあった。そして、そのまま俺を抜いてゴールしていた。
俺の前にいたのはなんと、クレアだった。
いつの間にあんなに早く走れるようになってたんだ・・・
「えへへ、私の勝ちだね、優くん」
「お前、いつの間にそんなに早く走れるようになったんだ?」
「えへへ、頑張ったんだ〜」
「まさか負けるとはな」
「まだまだ修行が足りないよ!なんちゃって〜」
「優さん、お疲れ様です」
「すまんな、燐」
「いえ、私は大丈夫ですので」
「クラスのみんなにも申し訳ねぇな」
「あなただって充分頑張ったじゃないですか。それが一番です」
「ありがとう。さ、まだ亜衣さんのが残ってる」
「はい、行きましょう」
ラストを飾るのは三年のリレーだ。
って、亜衣さんもアンカーなのか。まぁ、それほどみんなに信頼されてるんだろうな。
お、遂に始まったな。出だしは・・・二位か。まぁ、まだ巻き返しは可能だな。
お、巻き返した。また巻き返された。凄い接戦だな。
なんか熱い展開になって来たな。巻き返し巻き返され、最後のアンカー勝負!
おぉ、アンカーも互角だ。どっちも速い!頑張ってくれ、亜衣さん!!
おおおお!!!亜衣さんの勝ちだ!!!
さすがは亜衣さんだ。見事に一位を取っている。
っと、喜んでいる場合じゃない。
急いで生徒会のテントに戻り、閉会式の準備を行う。
『これより、閉会式を始めます。生徒の皆さんは中心に集まってください』
長かった体育祭も終わりを告げた。
結果的に今年はクラスで優勝はできなかったものの、みんなと一丸になって楽しむことができたのはとても素晴らしかった。
ただ、今回クレアに負けたことが非常に心残りだな。
そういえば美玖は燐から教わったんだっけ、俺も教えてもらおうかな。
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