第79話 破天荒な朝
俺は今日、朝から燐の家で朝食を食べていた。俺も不思議だったのだ。
遡ること数分前、いつもより早く起きたと思ったら、部屋に見覚えのないものばかり置かれていた。
夢かと思って辺りを見回していると、突然扉が開いた。
一体誰が来るのかと覚悟してたら燐がそこに立っていた。
「あら、優さん。おはようございます。今日は早いんですね」
「え、燐・・・?」
「どうかしましたか?」
「ここは?」
「・・・もしかして昨日の事、覚えてませんか?」
昨日・・・あ、そうだ思い出した。
昨日、姉さんが帰った時に奏蘭さんがたまたま一緒だったのだ。
それで姉さんが奏蘭さんとお酒を飲み始めてだんだん酔っ払って来てて、その後は奏蘭さんを家に送って・・・どうなったんだ?
あれ、おかしいな。その後の記憶が無い、のか?
「思い出せましたか?」
「いや、思い出したは思い出したんだが・・・お前の姉さんを送った後の記憶が無いんだ」
「あぁ・・・それは、思い出さないほうがいいですよ」
「え、俺、何かしたのか?」
「いいえ、私は何も見てませんから」
「いや、絶対見たよな!?教えてくれ、頼むから!!」
「嫌です。それよりご飯が冷めてしまうので早く降りて来てください」
俺ほんとに何したんだ・・・まぁ、とりあえず下に行くか。
燐の部屋から出ると、奏蘭さんとばったり会ってしまった。
「おはようございます、奏蘭さん」
「お、おおおおはよう優くん」
「・・・奏蘭さんは知ってますか?俺が何故ここに居るか」
「ご、ごめんさい。知らないわ!!」
あ、行ってしまった。それにしても、すごい速さだったな。
そんなに急いで行くほどのことがあったのだろうか・・・
下に降りて行くと、既に朝食が用意されていた。その奥では燐が味噌汁を温めていた。
なんというか、いいな。こういうのは。座って待っていると燐が味噌汁を持って来てくれた。
前にも燐に料理を作ってもらったが、その時も凄く美味しかったので味は心配しなくてもいいだろう。
そして俺は燐の料理を堪能していた。しかし、一旦家に帰らないとな。流石に荷物はあっちに全部置いて来てるし。
でも、燐の家だからな。ありそうなんだよなぁ・・・そう思い、俺は燐を呼び止めた。
「あのさ、俺の荷物ってあったりしないか?」
「ありますよ?そこのソファーの上に置いてます」
「マジか、助かるよ」
「いえ、これは当然のことですので」
・・・なんで俺の家にあったはずのものがここにあるんだ?
あぁ、きっと母さんに持って来てもらったんだな、うん。きっとそうだろう。
そう自分に言い聞かせながら燐の家を燐と一緒に出た。
その場を目撃した玲狐の誤解を解くのに10分ほどかかったのはまた別の話だ。
学校が終わってからの放課後、生徒会と実行委員が再び集まった。
全ての学年、クラスの種目別の選手が決定し、今日が実行委員で集まる最後の会議である。
と言っても今回は、各クラスの選手を俺達生徒会に教えて改めて全ての段取りを確認して、実行委員の人達は終了だ。
生徒会はまだもう少しだけ仕事がある。前回書いたプリントを完成版に仕上げることだ。
前回のプリントを復元し、細かい訂正をこなしていく。
先ほどの段取りの確認で種目の場所が変わったりしていたので、やる必要があった。
それが終わると、再び全校生徒、先生分を印刷してクラスごとにまとめる。これでようやく俺達の仕事も終了だ。
いよいよ今週末に迫った体育祭、みんなが楽しんでくれるといいんだがな。
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