第7話 お土産選びは破天荒
朝、目が覚めるとベッドで寝ていたはずのクレアがすでにいなくなっていた。
とりあえず布団を片付け、邪魔にならないよう隅に置く。
そして持ってきたバッグから着替えを取り出し着替える。
着替えを終えドアを開ける。するとどこからかいい匂いがする。
その匂いの元を確かめるべく向かっていく。するとそこではクレアが朝食を作っていた。
鼻歌を歌いながらご機嫌に朝食を作っている。どうやら俺にはまだ気づいてないみたいだ。
「クレア、おはよう」
「あ、優くんおはよー。ぐっすり眠れたかな?」
「あぁ、おかげさまでな」
「朝ごはんもう少しでできるから待っててね」
「わかった」
部屋へと向かい机の上の物を整理しテレビをつける。
つけてはみたものの特に面白そうなものはやっていなかったので新聞を読むことにした。
自分の家で取っている新聞とは違うものだったのでそれを読んでいた。
すると目の前に朝食が並べられた。
朝食はサンドイッチだった。手軽で食べやすく朝食にはぴったりだ。
そして暖かいコーヒー。まるでカフェのようだ。
「いただきます」
早速サンドイッチを頬張る。パンが焼かれており外がサクッとしている。そして具材は卵だ。
サンドイッチの中で特に卵が好きな俺にとっては最高の朝食だ。
コーヒーも香りが良い。一口飲んでみると独特の苦みはあるがとても美味しい。
あっという間に朝食を食べ終える。
クレアが立ち上がり食器を片付けようとしていた。
「俺がやろうか?」
「でも昨日もやってもらっちゃったし」
「いや、これは朝食を作ってくれたそのお礼として受け取ってくれ」
「優くんがそう言うなら、お願いしてもいいかな?」
「あぁ、任せてくれ」
そうして素早く食器洗いをこなす。
洗い終わり帰宅の準備を始める。忘れ物がないかもチェックしバックを閉める。
「優くん、もう帰っちゃうの?」
「あぁ、長居するのも悪いし。それに美玖にお土産買っていかないといけないからさ。」
「そっか。・・・それ私も行って良い?」
「別に良いけど」
「じゃあちょっと待っててね。着替えてくるから」
クレアが走って自分の部屋へと戻って行った。その数分後着替えて足早に戻ってきた。
「優くん、どうかなこの服かわいい?」
そう言いながらくるりと一回転した。その時スカートが少し捲れていたがそこは気にしないでおくことにした。
「あぁ、かわいいと思うぞ」
「そ、そう?よかったー」
「じゃいくか」
「うん!」
二人で外へと出る。
「でもなに買うの?」
「ケーキでも買っていこうかな。あいつケーキ好きだし」
「それならオススメのケーキ屋さん知ってるよ。」
「じゃあそこに案内してくれるか?」
「うん、いいよ」
クレアの案内に従いケーキ屋へと向かう。そうしてその店に着いた時に思ったことがあった。
「俺の家の近くじゃねぇか!こんなところにケーキ屋あったのか!?」
「え、初めて!?玲子さんも知ってたから優くんも知ってるのかと」
「まぁいいや、とりあえず早く入ってさっさと決めちまおう」
「それもそうだね」
そうしてケーキ屋の扉を開ける。するとそこにはたくさんのケーキがケースの中に置かれていた。
ざっと確認しても10種類くらいあるな。こんな凄いところが家の近くにあったのか。
「あれ、クレアちゃんかい」
「あ、おばさま。おはようございます」
「はい、おはよう。今日は何を買いにきたんだい?」
「いえ、今日は私ではなく優くんが」
「ど、どうも」
「あれま、クレアちゃん今日は彼氏連れかい。」
「ち、違います!おばさま!」
「あんれぇそうだったんかい」
「私の友達です。妹さんへのプレゼントを買いにきたんです」
「あら、妹さん思いのいいお兄さんだねぇ。サービスするよー」
「あ、ありがとうございます」
「さて、優くんどうする?」
「うーんそうだな」
ケーキを買いにきたもののたくさんの種類がありどれも美味しそうである。
そこから一つに絞り込むとはなかなか難しい。
「おばちゃん、何かオススメある?」
「今はこの季節のフルーツタルトだね」
なるほど、確かに季節フルーツはこの時期にしか食べられないかもしれない。
「じゃあそれホールで一つください」
「はいよ、2500円だよ。」
「じゃ2500円ちょうどで」
「はいよ、毎度あり。サービスにほらプリン二つあげるから二人で食べな。」
「ありがとうございます!」
「私までもらっちゃっていいんですか?」
「いいってクレアちゃんよく買いに来るだろ?そのお礼さ」
「そうですか、それではありがたくいただきます」
「ちょうどそこの休憩スペース空いてるからそこで食べな」
ケーキを受け取りキ休憩スペースへと向かう。
二人で座れるところを見つけそこに座る。
早速もらったプリンを食べる。なめらかな舌触りで甘さもしっかりとしている。
甘すぎない絶妙な甘さでとても食べやすい。
あっという間に食べ終わってしまった。少しここでゆっくりしようと思っていたらクレアが窓を指差していた。
何かと思い後ろを振り向く。するとそこには玲子が立っていた。しかもなにやら怒っているみたいだ。
扉が開きそのまま一直線にこちらへと向かって来る。そして
「ねぇ、優くんどうして二人で仲良くプリン食べてるのかな。私泊まるとは聞いたけどデートするなんて聞いてないよ。ねぇ、説明してよ。説明してくれるんだよね?」
「美玖のお土産買ってそれのサービスでプリンもらって二人で食ってるだけだ。そこまで怒ることか?」
「怒るよ!二人でこんなことしてたら誰でもデートだと思うよ!」
「え、これ俺が悪いのか!?」
「そうだよ!」
「というかお前こそなんでここに来たんだ?」
「それは燐ちゃんに写真で送られて来たからだよ!」
「は!?写真!?あいついつ撮ったんだよ。」
「後これ美玖ちゃんにも送ってるらしいよ」
「おいおい、それはまずいって」
「早く行ったほうがいいよ」
「あぁ、そうじゃないと面倒なことになる。すまんクレア、俺先帰るわ!」
「は、はい」
「今度埋め合わせするから!それじゃまた学校で!」
そう言い残し駆け足で家へと向かった。
「クレアさんとは少しお話しないとね」
「あら、私もそう思ってたわ」
優は駆け足で家へと向かいドアを開けるすると玄関の前で美玖が待っていたが
「おかえり、お兄ちゃん」
怒りのオーラが目に見えるほど怒っていた。
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