第74話 破天荒な監禁生活と終わり
クレアに監禁されてどれくらいの時間が経ったのだろうか。
時間を知る術も何もなく、外も全く見えない。こんな状況で俺にどうしろって言うんだ・・・。
その時、再び扉が開いた。開けたのはクレアだったが、手にはお盆を持っていた。
「優くん、お夕飯だよ〜」
「あぁ、もうそんな時間なのか・・・」
「そうだよ〜。はい、これが今日のお夕飯」
そう言いながら、クレアはお盆を一旦置き、部屋から小さいテーブルを取って来て、そこに料理を乗せて行った。
オムライス、コンソメスープ、フルーツの盛り合わせと割と普通のメニューが並んだ。
あれ、俺監禁されてるんだよな?
「なぁ、クレア。これって本当に俺のでいいのか?」
「え、うん。そうだけど」
「・・・こんな普通の食事をしていいのか?なんか、監禁されてる時の食事ってもっとこう質素っていうか」
「いや、優くんに質素なメニューなんて食べさせないよ!?私をなんだと思ってるの!?」
「監禁犯じゃないのか?」
「いや、今の状況的には確かにそうだけど・・・」
「これ、毒とか入ってないよな?」
「さすがに毒は入れないよ・・・」
「それなら安心できるな!・・・ところで、スプーンはどこだ?」
「あ、そうだったね!私ったら、ついうっかりしてたよ!」
そう言うと、クレアは身につけていたエプロンのポケットからスプーンを一つ取り出し、そのままオムライスをスプーンですくい上げた。
「はい、あーん」
「え、いや一人で食えるって・・・」
「あーん」
「いや、だから」
「・・・早く」
「あ、あーん。お、美味い」
「でしょ〜!頑張ったんだよ!!はい、もう一口どうぞ!!」
「いや、流石に後は一人で・・・」
「・・・」
「いただきます!!」
その後も結局クレアに全て食べさせてもらっていた。
時々、食べるのを拒もうとするとクレアの目からハイライトが消え、強引に口に押し付けて来たりして色々と面倒臭かったが何も反抗さえしなければいつものクレアだった。
夕飯を食べ終わると、部屋に布団が敷かれ始めた。
「あれ、布団も敷いてくれるのか?」
「えぇ。そのまま寝ると体が痛くなりますよ?」
「でも、手錠がだな・・・」
「あぁ、そうでしたね。外して置きますね」
「え」
「それでは、優くん。おやすみなさい」
・・・手錠が外された。これならば逃げられるんじゃないか?
俺は早速扉に手をかける。しかし、扉は全く開く気配がなかった。
おかしい、ドアノブをどっちに回しても開かない。
まさか、押すタイプか?これも違う・・・スライド?これも違うか。
すると、扉の向こう側から声が聞こえた。
「優くん、まさかとは思いますが扉を開けようとしていませんか?まぁその扉は私が持っている鍵ではないと開かないので無駄ですが・・・」
そんな・・・まさか開けるための鍵がないとは・・・
仕方ない、今日は諦めて寝るか。あ、この枕気持ちいい。
朝、目覚めると自分の部屋に戻っていた。
あれ、俺いつの間に戻って来てたんだ?俺は確か監禁されてて・・・。
「あ、おはようございます。優さん」
「燐!?一体いつからそこに!?」
「昨晩、優さんが監禁されてたのでそのまま優さんを回収して来ました」
「え、俺知らない間に助かってたの?」
「とても気持ちよさそうに寝てたので起こさないよう最善を尽くしました」
「・・・いや、ありがたいんだけどさ。なぜ俺の布団の中に?」
「その、夜のことだったので私も眠くて」
「あぁ、そうだったのか・・・」
「そういえば今日学校は?」
「今日は休みですよ」
「そうか、ならもう少し寝てるか」
「そうですね、私は家に戻りますね」
「あぁ、おやすみ」
「おやすみなさい、優さん」
まさか、燐が助けに来てくれていたとはな・・・相変わらず凄いやつだ。
だが、どうして俺が監禁されてたことを燐は知っていたのだろうか・・・
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