第69話 破天荒な嘘
朝、起きた時に時計を確認すると7時を指していた。
いつもより少し早く起きてしまい、もう一眠りしておこうと思った時、突然部屋のドアが開いた。
「お兄ちゃん！！朝だよ！！！」
「・・・なんだ、美玖か。まだ7時じゃないか」
「お兄ちゃん、今日から学校でしょ？」
「・・・今日何日だ？」
「四月一日！」
「まだじゃねえか！！」
「やーいやーい、引っかかった引っかかったー」
「こ、こいつ・・・」
「ま、これで目が覚めたでしょ？どのみち今日クラス発表なんだし学校行くじゃん」
「そう言えば今日だったか」
「だから起こしてあげた私に感謝するといいわ！！」
「はいはい、ありがとさん」
「もっと褒めてよ！！」
「飯食ったらなー」
「あ、ちょっと待ってよお兄ちゃん！！」
美玖に叩き起こされたおかげで完全に目が覚めたのでそのままリビングまで向かった。
リビングに着くなり母さんが驚いた表情をしていた。
いやいや、確かにしばらくは昼まで寝てたけどそんなに驚きます？
未だに驚いている母親を無視しながら用意されていた朝食を食べた。
隣には七海が座っていたが七海はすでに食べ終え、食後のお茶を飲んでいた。
朝食を食べ終えたタイミングで姉さんが起きてきた。
「ふぁ〜あ、みんなおはよ・・・あれ、優がいる」
「だからなんでみんな驚くんだよ」
「お兄ちゃんは最近ずっと寝てるからね〜。むしろ朝にいるのが珍しい？」
「いや、いってもここ数日くらいだろ！？」
「数日とか言ってるけど昔から昼まで寝てたじゃん」
「そ、それは・・・」
「まぁでも早く起きることはいいんじゃない？」
「いや、姉さんにだけは言われたくないから」
「い、言ったわね・・・」
「それに姉さん自分のベットで寝ることなんてほぼな・・・」
「はいストップ！！！それ以上言うのはやめようか！！」
「あ、あの璃亜さん・・・？」
「お姉ちゃん・・・？」
「璃亜、後で話聞くわね」
「はいぃ・・・」
「そんじゃ俺は出かける準備でも・・・」
「あ、私は先に行ってますね。結衣さんと待ち合わせてるので」
「委員長とか？まぁ了解した」
それにしても姉さんなんでさっきの発言止めてきたんだ？
一応嘘だったんだが、まさか信じたのか？
いや、流石にそれはないかなにせ姉さんだしな。こういうのは一番早く気づきそうだし。
とりあえずさっさと着替えて学校に向かいますか。
着替えを終え、洗面所で歯磨きと顔洗いを済ませ家を出た。
すると、目の前には既に燐が立っていた。そしてその数秒後に玲狐もやって来た。
三人で学校へと向かっている間にレンと彩に偶然遭遇した。
せっかくなのでこのまま一緒に向かうことにした。
五人で話しながら歩いているといつの間にか学校に着いていた。
そしてそこには人だかりが出来ていた。
まぁ自分のクラスが貼られてるわけだし仕方ないか。
俺達もその人だかりに入って行き、自分のクラスを確かめる。
「お、燐。今年はクラス一緒じゃないか」
「そのようですね。これも運命でしょうか・・・」
「七海も一緒か」
「俺たちも一緒だぜ！」
「おぉレン達もか！」
「あぁ、よろしくな！」
「ゆ、優くーん」
「玲狐？どうかしたのか？」
「優くんとクラス離れちゃったー」
「そうか、それは残念だ」
「でも結衣さんとクレアさんとは一緒じゃない」
「そうだけどさー」
「まぁもう決まったことだし落ち着けって。別に会えなくなるわけじゃないんだし」
「ううう・・・」
「はぁ、たまにそっちに行ってやるから、な？」
「約束だよ？」
「はいはい、わかったから」
「えへへ、ならいいよ」
「さて、用も済んだし帰るか」
「じゃあどっか寄ってこうよ」
「近くの喫茶店でいいか。レン達はどうする？」
「俺たちはこれからデートだからまた今度にするよ」
「おう、そうか。楽しんでこいよー」
「おう！」
レン達と別れ、家の近くの喫茶店へ向かった。
一人で来ることもよくあるので店員にはすっかり顔を覚えられていた。
入るとマスターからすぐに茶化されたがこれはいつものことなので軽く受け流した。
そう言えばエイプリルフールってまだ続いてるんだよな、気をつけないと。
「優くん優くん！」
「なんだ？」
「実はね、優くんの部屋に盗聴器仕掛けてるんだよね〜」
「私も実は小型のカメラを」
「ふふふ、玲狐に燐よ。流石の俺だってわかっている、それは嘘だとな！！」
「あちゃあ、騙せなかったかー」
「優さんが騙されない日が来るとは・・・」
「いつまでも人のこと甘く見過ぎだぜ！」
毎年毎年騙され続けていた男、優は二人の嘘を見破ったことをとても喜び、注文していたコーヒーを優雅に飲んでいた。
しかし、そのためだけに二人の本当の言葉に耳を傾けてはいなかった。
「ま、私のは本当だけどね〜」
「まぁ、私のは本当ですが」
優がこの真実を知るのはまだまだ先のお話・・・
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