第6話 泊まり時々破天荒
「たっだいまー」
「お邪魔します」
すごい、うちの玄関より広いな。靴棚の上に生花もこれはクレアの母さんがいけたのかすごく綺麗だ。
「ささ、早く上がってください。」
「お、おう」
クレアに連れられ今へと向かった。そこで俺は気づいたのだ。
「着替え持ってきてねぇ!」
「え!?」
そうだ、うっかりしてた。家の玄関に置いてきてしまった。
どうするか考えてても仕方ない。とりあえず母さんに届けてもらうしかない。
「クレア、ちょっと着替え届けてもらえるよう連絡入れてくる」
「着替えがなくちゃ仕方ないよね」
頼むからまだいないでくれよ・・・
『あら、どうしたの優』
「あ、母さん実は玄関に着替え置いてきちゃってさ」
『あら、それは大変ね。すぐに持って行くわ』
「うん、じゃあ近くの公園で待ってるから」
『わかったわ』
「そんじゃ」
よし、とりあえずは大丈夫そうだな。ひとまず向かうとするか。
「それじゃちょっと着替え受け取りに行ってくる」
「私も行くー」
「別にいいけど何もないぞ」
「挨拶くらいはしておかないと、ね」
「それもそうだな、行くぞ」
「うん!」
そうして俺達は公園へと向かった。
公園に着くと既に母さんがいた。
「あ、優。はい、忘れ物よ」
「ありがとう、助かったよ」
「そちらの子は?」
「今日家に泊まらせてくれるクレアだ」
「す、涼風クレアです!」
「あなたがクレアちゃんね。優のことよろしく頼むわよ」
「は、はい!」
「私夕飯の準備しないと。優、くれぐれも迷惑はかけるんじゃないわよー」
「わかってるよ!」
「わかってるならよろしい。それじゃあね」
「は、はい」
そう言い残し母は家へと戻って行った。
「お母さんいい人だね」
「そうか?」
「そうだよ。さ、私たちも帰ろ」
「あぁ」
その頃優の家の前に一人の少女が立っていた。
その少女は家の前で佇んでいた。その時一人の女性に声をかけられた。
「あら美玖ちゃん、帰ってたのね。迎えに行けなくてごめんね」
「お母さん!家に鍵かかってるからどうしたのかと思ってたよー」
「ごめんごめんちょっと届け物に行ってたものだから」
「そっか、ならしょうがないよね」
「さ、早く入りましょう」
「はーい。お兄ちゃんに早く会いたいなー」
「そ、そうね。美玖と優は仲がいいものね」
「もちろん!だって私たちは兄妹だもん!」
鍵が開いた瞬間美玖が勢いよくドアを開けた。
「ただいまー!」
家中に声が響き渡る。しかし優が降りてくる様子はない。
「お兄ちゃーん!美玖が帰ってきたよー!」
しかしそれでも反応がないので優の部屋へと向かう。
そうして部屋の鍵を差し込みドアを開ける。
するとそこにいるはずの優がおらず机の上には手紙が置かれていた。
美玖はその手紙の封を開け中を確認する。
すると一通の手紙が入っておりそれを開いて確認する。
手紙には
『今日は友達の家に泊まる用事があるからお前の帰りを待っていられないんだ。すまん』
と書かれていた。
それをみた美玖は崩れ落ちた。そして携帯を取り出しすぐに優の番号へかける。
『もしもし?』
「お兄ちゃん!これどうゆうこと!」
『あー、手紙見たのか』
「みたからこうして電話かけてんじゃん!友達の家に泊まるってどうゆうこと!」
『あーっと、それはだな。そう、お前が帰ってきた祝いにプレゼントを買おうと思ってだな』
「ほんと!?」
『あ、あぁ本当だ』
「それじゃあ明日楽しみにしてるから」
『はいはい、わかりましたよ』
「それじゃバイバーイ」
「お母さーん、お兄ちゃんが明日プレゼント持ってきてくれるって」
「そう、それは良かったわね」
「うん!」
「ご飯できるまで時間あるからゆっくりしてなさい」
「はーい」
「明日楽しみだなー」
その頃優は急に電話がかかってきて驚いてはいたがなんとかごまかすことに成功してホッとしていた。
クレアの家に着いた時に電話がかかってきたのでてっきりばれたかと思っていたがそんなことはなかったらしい。
まぁ誰かが口を滑らせない限りは大丈夫だろ。
「それでは優くん、私お夕飯を作っちゃうからくつろいでて」
「いや、それはさすがに悪いよ。俺も手伝うよ」
「いえ、ここは私に任せて!」
「そ、そうかなら俺は宿題でも片付けておくか」
クレアが料理に取り掛かり優は宿題を始めた。
しかしそこでとあることを思った。
「なぁ、クレア、両親は留守なのか?」
「お仕事でいないだけだよ。夜には帰ってくるから」
「そうか、色々大変だな。」
「もう慣れたよー。でも一人じゃない夕食って久しぶりだなー」
「俺でよければまたくるぞ」
「ほんと!?絶対だよ!」
「あぁ、約束しよう」
こいつ夜はいつも一人だったのか。たまには優しくしてやるか。
そのあと宿題に取り組んだ。今日はいつもより量が少ないので意外にも早く終わった。
横にいるクレアの方を見るともう少しで終わりそうだったので先に運んであげることにした。
「これ持ってくぞー」
「うん、お願いねー」
これはここだな、でこれはここ。箸はここでいいか。
「優くん、ご飯これくらいで大丈夫?」
「あぁ、ちょうどいい量だよ」
「お味噌汁もあるからそっちもよそっちゃって」
「あいよ」
食卓にはご飯、味噌汁、サラダ、ハンバーグとバランスのとれた料理が並んでいる。
ハンバーグのいい匂いが食欲をそそる。
腹が鳴りそうになったがそれを頑張って押さえ込みクレアが来るまで待った。
「それじゃあいただきます。」
「いただきます。」
ハンバークは肉厚で食べ応えがありご飯との相性も抜群でご飯がすすむ!
味噌汁も出汁の風味がしっかり生かされている。
「すげぇうまい。こんなにうまいだなんて」
「えへへ、実は料理だけは自信あったんだー」
「これなら毎日食べたいくらいだ」
そう言いながら優は食べすすめていくがその言葉をクレアは聞き逃さなかった。
「それじゃあ今度お弁当作ってあげようか?」
「本当か?それは助かる。」
「期待しててよねー」
「これだけの味が出せるんだ安心して頼めるよ」
「もーなによー」
そのあとは学校での話や勉強のことなどを話していた。
食べ終わったあと俺が食器を洗いその間にクレアが風呂を沸かしに行った。
食器を洗い終わり一息つこうと思ったら机の上に一杯のお茶が置かれていた。
そのお茶はちょうどいい温度で飲みやすかった。落ち着くには最適でゆっくりできた。
風呂には先にクレアに入ってもらった。さすがに俺が入った後とか嫌がりそうだしな。
風呂から上がるとクレアが宿題をやっていたがちょうど終わったらしい。
さすがにいつもの疲れが溜まっているのか眠気が襲ってきた。
「今日はもう寝る?」
と聞かれたのでそのまま今日は寝ることにした。
「お部屋用意できなくて私の部屋で寝てもらうんだけど大丈夫?」
「いや、問題は大いにあるんだが。俺は男だぞ一緒の部屋で寝るなんて大丈夫なのか?」
「優くんが変なことしないのわかってるからここに敷いたんだよ」
「はぁ、変なことしそうなのはお前なんだが・・・」
「す、するわけないじゃーん」
「だといいけどな」
「さ、寝よー」
「はいはい」
「優くん」
「なんだ?」
「楽しいね」
「・・・そうだな」
「おやすみ」
「あぁ、おやすみ」
数分後優が寝たことを確認するとクレアは優の布団へと潜り込んだ。
「今日はありがとうね」
そしてクレアも眠りについた。
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