第66話 破天荒な卒業式
母さんが戻って来てから数日が経ち、美玖の卒業式を迎えた。
そのため、母さんと姉さんは朝から卒業式に着て行くものを準備していた。
俺は、高校の卒業式の準備があるので朝から学校に行っていた。
体育館内に椅子を配置したり、垂れ幕を付けたりと大忙しだった。
今回、燐と七海は卒業生の受付に行っているので残った三人と先生達で卒業式の準備を終わらせていた。
卒業式の準備を終わらせた後、教室に戻るなり今度は学年の移動の準備も始めなくてはいけない。
2年の方は亜衣さんに任せて一年は俺と委員長で。
燐と七海が戻って来た辺りで二年生が移動を始める。その後に一年。
体育館に全員入ったのを確認した後に一旦抜け出し、事前に言われていた通り体育館の入り口に待機していた。
こうしていよいよ卒業式が行われた。
卒業生の入場時に扉を開け、全員入ったのを確認した後に静かに閉めて席に戻った。
その後は卒業証書が順々に渡され、校長先生からの話が終わった。
そして、元生徒会長里奈さんからの話の後、現生徒会長の亜衣さんの話が始まった。
どちらも壇上でありながらも堂々と話している姿勢を見て俺もあんな風になれるよう頑張ろうと、心に決めた。
卒業式を終え、卒業生を見送った後卒業式の後片付けを行った。
後片付けは他の人も手伝ってくれたので準備の時よりも早く終わった。
片付けが終わり、家に帰ろうとした時姉さんから帰るのが少し遅れると連絡を受けたので少し寄り道してから帰ることにした。
「七海、今日は少しだけ寄り道して行ってもいいか?」
「あ、はい。構いませんよ」
「よし、じゃあさっさと行くか」
「そうですね」
「うぉっ!り、燐。いつの間に・・・」
「優さんのいるところには大抵いますよ」
「そ、そうか。あ、そういやお前の家に前姉さんが行ったときあったろ?」
「ありましたね」
「その時、何があったか知ってるか?」
「・・・いいえ。何も知りませんわ」
「そうか、すまんな。今聞いたことは忘れてくれ」
「それで、どこに行くんですか?」
「あぁ、スーパーだよ。ちょっとやりたいことがあってさ」
「そう言うことですか。なら私もお手伝いしますね」
「あ、あの、よくわかりませんが私もお手伝いしますよ・・・!」
「おう、二人とも頼むぜ!」
三人は学校から徒歩3分圏内にあるスーパーへ向かった。
そこで食材をいくつか買った後、そのまま家に帰りキッチンへと向かい、料理を開始した。
今日作るのはシチューとデザートにケーキを作る。
まず俺は買って来た野菜を切り、その後に鳥肉を切って行く。
その間に燐と七海にはケーキの準備をしてもらっていた。
切った鳥肉を軽く炒め、取り出して次に鍋に油とバターを入れてそのまま野菜と先ほど取り出した肉を投入し、炒めていく。
その後水を投入し、煮込んでいき、数分経った後にルーを投入しルーを溶かして行く。
溶かしきった後、さらに混ぜながら途中に牛乳も入れつつ煮込んでいく。
そうすることでシチューの完成だ。
作り終えたタイミングで燐達に任せていたケーキも完成した。
その後運が良かったのか、完成したと同時に美玖達が帰って来た。
料理も完成していたので燐は帰ろうとしていたが、せっかく一緒に作ったので食べて行って欲しかった。
それに、もう一人お客さんもいるみたいだからな。
シチューの盛り付けを七海に任せて俺は玄関に向かった。
そこには玲狐が立っていた。
「よぉ、どうしたんだ?そんなところに立って」
「いやぁ、美味しそうな匂いがして」
「でも、そっちももう夕飯だろ?早く帰ったほうがいいぜ」
「えー、やだ!だって今日は優くんの手作りでしょ!!」
「いや、そうじゃないけど?」
「嘘、優くんおたま持ってるじゃん」
「あぁ、これは盛り付けに参加しててだな」
「とにかくあがるからー」
「あ、おい!ったく、勝手なやつだ」
結局玲狐も含め、大人数で食べることになった。
シチューはみんなから絶大な人気を誇ったのだが、人数が増えすぎてしまったため、鍋には一人ぶんしか残っていなかった。
その残りは今日卒業した美玖に渡ることになった。
その後、一杯しか食べられなかった姉からまた作れと言う強制命令があった。
まぁ、これだけ人気だと悪い気もしないのでまた作ってもいいかなと思っていた。
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