第63話 破天荒な受験
今朝起きると、リビングがいつもより少しざわついていた。
それもそのはず、今日は美玖の受験当日だったのだ。
珍しく母さんも動きがいつもより少し遅かった。
美玖は部屋で忘れ物がないかの最終確認をしていた。
確認を終え、戻って来た美玖に母さんはお弁当を渡し、美玖は受験に向かった。
まぁ、今までやってきたことをそのまま活かせば問題ないだろう、そう思いながらも美玖が合格するかどうか少し不安だった。
今日は高校は休みなのでずっと家に居ようと思ったのだが、家にいても落ち着かないので外に出ることにした。
何も考えずに出て来たが、どうしよう。
どこに行くか考えながら歩いていると、燐が前で立ち止まっていた。
今日俺の家にいなかったことを考えると何かが起こりそうと判断し、即座に後ろを振り返ったのだが、そこには燐が立っていた。
「あら、優さん。奇遇ですね」
「あ、あぁ。そうだな」
「何処かへお出掛けですか?」
「まぁ、それも悩んでるんだがその前に、お前さっきまで目の前にいたよな?」
「いえ、元々後ろにいましたが」
「え、でも前には確かに燐が・・・あれ?」
慌てながら後ろを振り向くとさっきまで立ち止まっていたはずの燐が消えていた。
「変なことを言いますね、もしかして風邪ですか?」
「見間違いだったのか?だが、あれは確かに燐だった・・・」
「あの、優さん?」
「ん、おぉ、すまん。それで俺が出掛けるかだったか?」
「はい、よければご一緒しようかと」
「と言っても何も決めてないんだよな」
「じゃあ散歩、ですね」
「まぁたまにはな」
「では私も付き添いますね」
「いや、用事があるなら行ってもいいんだぞ?」
「・・・まさか優さん私を追い払おうとしてませんか?」
「そ、そんなことはないさー」
「まぁ、いいです。それより早く行きましょう」
燐が着いて来てくれることになったが、こいつも暇なのか?
暇なら暇人同士で仲良くやりますか。
燐と共にまたいつもと違う場所へと足を運んだ。
途中で喫茶店があり、休憩がてら入ったのだがそこのお店のコーヒーはとても美味しく一回きりじゃ勿体無いと思ったのでこのお店の名前をメモしておくことにした。
喫茶店の帰り道、美玖から受験が終わったとの連絡が入ったので迎えに行くことにした。
美玖が受けたのは俺の通っている高校だ。
燐と一緒に美玖を迎えに行き、帰りにコンビニで二人にスイーツを奢った。
こっそり自分のものも買っていたがそれは秘密だ。
家の前で燐と別れ、家に入る。
すると姉さんが玄関で待っていてすぐさま美玖の手を引っ張って行った。
俺は姉さんを追いかけて、リビングに着くとテーブルの上には寿司や天ぷら、刺身など沢山乗っていた。
美玖の受験が終わったことで母さんも一安心し、ずっと料理を作っていた。
美玖は満面の笑みでごちそうを食べていた。
あとは合格発表を待つだけだ、受かっているといいんだがな。
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