表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/172

第58話 破天荒なプレゼント

姉さんを帰らせた後、何故姉さんが俺の部屋が変わったことを知っていたのか疑問に思い聞いてみたところ、初めは七海たちの部屋に行ったらしいが七海が部屋を交換したと言った瞬間にこちらの部屋へと向かって来たらしい。

部屋に戻ると、玲狐はまだ放心状態だった。

流石にそのまま放って置くわけにも行かないので肩を揺さぶって玲狐を起こした。


「あ、あれ、優くん。お姉さんは・・・?」

「あぁ、帰らせたよ」

「そ、そっか」

「それで、俺が・・・なんだって?」

「え!?」

「いや、さっき何か言おうとしてたじゃないか」

「・・・忘れて!!!」

「お、おう。そんなに声を出さなくても聞こえるっての」

「わ、私お風呂行って来るから!!!」

「わ、わかった」


着替えを持つと、玲狐はそのまま慌てて部屋を飛び出して行った。

あんなに焦ってる姿を見るのは初めてだった。

それにしても、一体何を伝えるつもりだったのだろうか・・・。


朝になると流石にいつもの玲狐に戻っていた。

あの後、風呂から帰ってきたかと思ったらすぐに布団に入ってたし結構心配してたけど・・・普段通りに戻ってるしいいか。

朝食を食べに行くと既にみんなが席について食べ始めていた。


「おはようございます、優さん」

「おう、おはよう。燐」

「今日はすみません」

「・・・?何がだ?」

「優さんの部屋にクローゼットがなかったので待機してることができませんでした」

「いや、しなくていいから!」

「わかりました」

「分かってくれたか」

「明日からは優さんの布団の中に潜り込むことに・・・」

「そっちじゃねえよ!!!」

「冗談です」

「お前のは冗談に聞こえないんだよ・・・」

「それよりも、今日でここを出るので早めに準備してくださいね」

「あぁ、そうだったな」

「あ、それなら私が朝やっておいたから大丈夫だよ」

「おぉ、助かる。ありがとうな玲狐」

「いいよ〜、昨日迷惑かけちゃったし」

「あ、そのことなんだが結局何を・・・」

「さ、優くん早く荷物持ってこよっか!!」

「あ、おい!ちょっと待てって!」


駆け足で部屋に戻る玲狐を追いかけて行った。

後ろでは彩とレンが何やらニヤニヤしていたがそんなことを気にしてはいられなかった。

部屋に戻り、玲狐から荷物を受け取ってから再びロビーに集まった。

各自で忘れ物が無いかチェックした後に、旅館を出た。

帰りの電車が来るまではまだ時間があるので、お土産を買うことにした。

駅の中にちょうどお土産の売ってる店があったのでそこで購入することに。

とりあえず家族へのお土産は無難に温泉まんじゅうでいいかなぁ、と思っていた時、棚の上にネックレスを見つけた。

ついでにそれも取り、そのままレジに向かった。

ネックレスと温泉まんじゅうを別にしてもらい、ネックレスはリュックに入れておいた。

お土産を買い終わった人たちは近くのベンチに座っていた。

買い物を終え、座っていたのはクレアと七海だけだった。

クレアは家族の分と学校の友達の分と二つ買っていた。

七海は俺と折半のため、自分が欲しかったもののみを買っている。

近くにあった自動販売機に行って、クレアたちの分の飲み物を買い、それを渡した。

ただ待つよりは何かを飲んで落ち着ける方がいいかと思ったからだ。

飲み物を飲みながら待っていると、みんなが戻って来た。

そしてそのまま電車のところまで行き、乗り込んだ。

この数日間は色々とあったが、なんやかんやでいい思い出になった。

電車に揺られること数時間、駅に到着した。

クレアたちとはその場で別れ、玲狐たちとは家が近くなので一緒に帰ることにした。

そして、先に燐と別れた後、玲狐に少しだけ付き合ってくれ、と言い別の場所へ。

七海には先に帰ってもらった。荷物を持たせて来ていたので後で何か買って帰ろうと思っていた。

玲狐と歩いていき、春に花見で来た丘に到着した。

今は桜は咲いていないが、それでもその桜の木は立派だった。

その丘の上から景色をしばらく眺めた後、俺は玲狐にラッピングされた袋を渡した。


「これ、やるよ」

「・・開けてもいい?」

「おう」


すると、その袋の中には四角いケースが入っていた。それを開けると中には優が先程買ったネックレスが入っていた。


「それ、お前に似合うと思ってさ」

「ゆ、優くん・・・。ありがとう、大切にするね!!それと、これは私からなんだけど」


そういい、玲狐はバックから袋を取り出した。


「開けるぜ」

「うん」


袋を開けると、中にはハンカチが入っていた。


「それ、私の手作りなんだ。本当はあの時渡そうと思ったんだけど」

「あぁ、あの時か・・・。でも、ありがとうな!すっげぇ嬉しいよ!!」

「喜んでもらえてよかった!」

「さ、暗くなる前にさっさと帰りますか」

「うん!そうだね!!」


夕焼けに染まる空の下、二人は仲良く家に帰って行った。

お読みいただきありがとうございました。ご意見ご感想などもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ