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第57話 破天荒な観光

昨日の夜、花火を見た後に玲狐を部屋まで送って行った。

その間は特に何も話さなかった、というよりも話すのが少しだけではあるが恥ずかしかった。

その後に自分の部屋に戻ると、七海が寝ていた。

時間を見るともう23時を回っていた。

七海を起こさないように静かに着替え、隣に敷いてある布団に入り眠りについた。


朝、右半身に重さを感じ、横を見ると七海が寝て居た。

幾らか布団の間の距離は離していたのだが・・・。

とりあえず、着替えるために起こさないように布団からそっと抜け出した。

そして、昨日寝る前にクローゼットに服をかけておいたのでそこから服を取ろうと思い、クローゼットを開けた。

すると、ハンガーにかけておいたはずの服が無くなっていた。

その代わりに、その下に何かが丸まっていた。

なんとなく何かは察せたので今回はいつもと違う対応をしてやろうと思った。

まずはその物体を持ち上げ、クローゼットから出す。

そして、「あー、今から洗濯に出さないとなー」

と言うと、突然持っていた物体が軽くなった。


「おはよう、燐」

「・・・おはようございます」

「なぁ、一応聞くがなんでまたあそこにいた?」

「前にも言ったじゃないですか、そこにあるからですよ」

「いや、家でやるにはいいんだけどさ・・・ここは旅館だぞ!?しかもロックまでついてる!!・・・どうやって入った」

「世間って、狭いですよね」

「おい、露骨に誤魔化すな」

「と言うか優さんも酷いですよ!!洗濯機に入れようとするなんて!!!」

「いや、いるなんて知らなかったし」

「いいえ!あれは知ってる時の対応でした!」

「まぁ、何回もやられてるしな」

「んむぅ・・・あれ、優さん?」

「お、七海。おはよう」

「あ、おはようございます。燐さんも」

「えぇ、おはよう」

「いつ帰ってきてたんですか?」

「・・・それはどう言うことかしら?」

「昨日優さん夜に出かけてて、待ってたんですけど眠くなっちゃって」

「優さん?私と少しお話ししません?」

「悪いが断る!」


全神経を使い、最速で着替えを終わらせ、そのまま部屋を出た。

しばらく走っているとクレアを見つけた。

クレアは朝食に向かっていたようなのでそのまま一緒に行くことにした。

食堂に着くと、すでに彩とレンが朝食を食べていた。

俺たちも朝食を取りに行き、レンたちのいる隣の席に座った。

朝食を食べていると、玲狐たちがやってきた。

玲狐たちは俺たちのところとは別の席に座っていた。

朝食を食べ終え、部屋に戻り、荷物を整理していた。

今日はこの街の観光に行くからな、カメラで色々写真を残しておきたいし。

そしてみんなの準備ができたところで街へと向かった。

昨日の夜とはまた違った雰囲気で賑わっていた。

夜はカップルなどが多かったが朝は観光客で溢れていた。


「それで、ここで何をするんだ?」

「はいはーい!ここの温泉まんじゅう美味しいって聞いたから食べたーい!!」

「わかった、店の場所わかるか?」

「うん!もう目の前だよ」


横を見るとすでに玲狐は買っていた。

と言うか、もう食べてた。

とても美味そうに食べてたので人数分注文した。

そして、みんなに渡してから食べると、とても美味しかった。

普通の饅頭とはまた違う美味しさだった。

饅頭を食べ終わり、少しぶらぶらしていると神社が見えてきた。

神社に入り、まず手を洗い、そしてお参りを済ませた。

そのあとはみんなでおみくじを引いてみた。

七海と燐、そしてレンの三人は大吉だったみたいだ。

俺を除く三人は中吉だった。ちなみに俺は一人だけ凶だった。

・・・まぁ、ここから上がってくるかもしれないしな、うん。

俺はおみくじを木の枝にくくりつけ、みんなの元へ戻った。

日も暮れてきて、そろそろ帰ろうと思った時、燐がとあることを言った。


「ルームメンバーを交換してみない?」

「交換?」

「えぇ、私とクレアが七海と一緒になって、優さんは玲狐と二人で」

「え!?」

「ち、ちょっと待ってください!!燐さん!!それでは玲狐ちゃんに・・・」

「クレアさん、ちょっと」

「・・・はい?」


燐がクレアを呼び、何かを呟いていた。

すると、クレアの顔が突然笑顔になっていた。


「玲狐ちゃん!!私はあっちに行くから二人で泊まって!!」

「え!?う、うん。わかった」

「それじゃあ帰りましょう」


突然決まった部屋の入れ替え、そして微かに笑みを浮かべた燐。あいつ、何を企んでいる・・・。

歩いていると、玲狐がずっと顔を赤くしたまま俯いて歩いていた。


「・・・玲狐?」

「ひゃい!ど、どうしたの?」

「いや、下向いて歩くと危ないぞ」

「あ、ごめん」


その後も玲狐はずっと無言だった。

旅館に着き、部屋に荷物を取りに戻りたい、と言うともう移動されてると燐に言われた。

部屋の鍵を開けると、確かに俺の荷物が置かれていた。

一体いつの間に・・・。そう思っている時、玲狐が入って来た。

靴を脱ぐと、そのままこちらに歩いて来た。


「・・・ゆ、優くん。あ、あのね・・・私」

「やっほー!!優、元気!?お姉ちゃんだ・・・って、あれ?もしかして・・・・・・お取り込み中だった?」


玲狐が何かを言おうとしたその時、姉さんが突然ドアを開けて突撃して来た。

最悪のタイミングで。

お読みいただきありがとうございました。ご意見ご感想などもよろしくお願いします。

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