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第56話 破天荒なクリスマス

旅行当日、朝早くに起床し、着替えを済ませて下に降りた。

すると既に玲狐と燐、七海が朝食を食べていた。

俺は七海の隣に座り、朝食を食べた。

朝食を食べ終わり、身支度を整えてから集合場所である駅へと向かった。

駅では既にクレア達が集まっていた。軽い挨拶を済ませ、電車に乗り込む。

着くまで待ってるのも退屈なので車内でトランプをしていた。

大富豪やババ抜き、ポーカーなど様々なゲームを楽しんだ。

数時間後、目的地が見えてきた。

色々な建物の立つ大都会、前回家族と行った自然の中とはまた違った感覚だった。

そして、電車も停まった。荷物を持ち、電車から出る。

電車から出るとさっき見たときよりも更に多くの建物があった。

みんなが景色を眺めていると、七海が少し遠慮ぎみになりながらも行こう、と言ってくれたので向かうことにした。

旅館はここから歩いて5分ほどで着くようで、しばらく歩いていると建物が見えてきた。

そこは前に行った七海の旅館にも引けを取らないほど大きなものだった。


「いらっしゃいませ」

「えっと、こ、こちらで勝手に部屋分けさせてもらいましたが。だ、大丈夫ですか?」

「おう、問題ないぜ」

「で、では手続きをしてきますね」


七海は受付の人のところまで行ってしまった。隣でも既に書いてる人がいるようで・・・って、ん?あの後ろ姿、どこか見覚えが・・・


「あら、燐ちゃん。どうしてここに?」

「姉さん!?あなたこそどうして!」

「ちょっと友達と、ね。仕事なのよ」


燐の姉さんが友達と仕事、そしていつの間にか七海と話している・・・まさか!

一人思い当たる節があり、受付のところまで向かった。


「姉さん!!」

「あ、優じゃん!どうしたの、私に会いたかった!?だけど、ごめんね。姉さん今回は仕事で来てて」

「いや、そうじゃなくて!なんで教えてくれなかったのさ!」

「いや、教えるも何もいなかったし、タイミングがなかったのよ」

「ま、まぁそれなら仕方ないか・・・」

「それより、あなた達はどうしたのよ?」

「俺たちは旅行だよ」

「え、旅行!?私聞いてないんだけど!」

「あ、忘れてた」

「あんたも忘れてんじゃない!」

「ごめんって」

「あ、あの。手続き終わりましたよ」

「おう、ありがとうな。そういうわけだから、じゃあな。姉さん」

「あ、うん。って行っちゃった。私も部屋に行きますか」


七海が受け取った鍵は全部で三つだった。

まずは俺と七海の部屋、そして燐と玲狐、そしてクレアの三人部屋。最後に彩とレンの二人部屋だ。

それぞれに鍵を渡し、部屋に入って行った。

部屋に入り、荷物を整理してそのまま座り込んだ。

ちょうど座布団が近くにあったのでそれに座っていた。

夕食にはまだ時間があるので先に風呂に行くことにした。

事前に用意されていた浴衣とタオルを持って大浴場へ向かう。

その途中で玲狐達とも出会った。

少し会話をしながら向かい、大浴場手前まで来たところで俺は玲狐達と別れた。

そしてそのまま更衣室へ向かったがまだ早かったのか、さほど人がいなかったのでほぼ貸切状態だった。

人が少ない分ゆっくり入れるな、と思い入って行った。

日頃の疲れを癒すために、少し長く入りすぎたのか少し顔が赤くなっていた。

長湯しすぎるのもダメだなと思いながら、フルーツ牛乳を買い、飲み干してから更衣室を出た。

出ると、玲狐達が待っていた。

時間的にもちょうど良かったので、着替えを置きに行ってから食堂へ向かった。

その時にはレン達とも合流していた。

お盆の上には小さな鍋が一つ置かれていた。蓋を開けると中は野菜たっぷりの鍋だった。

火にかけられたままなので少し熱いがとてもうまい。

鍋を食べてから部屋に戻り、再び普段着に着替える。


「優さん。ど、どこかにお出かけですか?」

「あぁ、ちょっとな。行ってくる」


そして待ち合わせ場所である旅館前まで行くと既に人がいた。


「悪い、待たせたな。玲狐」

「ううん、私も今来たとこだし、早く行こ!」


そして玲狐と二人で街に向かった。と行っても徒歩数分距離のところなのだが。

そこではクリスマスの日だけ特別綺麗なイルミネーションをやっていたらしい。

玲狐もたまたま日程が被ったから見たいと言われ、なんとか場所を見つけ出した。


「綺麗・・・」

「あぁ、すごく綺麗だ」

「・・・ねぇ、春に私が言ったこと、覚えてる?」

「あぁ、もちろん」

「こうやって優くんと二人で見るのって私、すごく好きなんだ」

「俺もそうだよ、玲狐と見てる時が一番いい」

「あのね、私、優くんが・・・」

「それは・・・少し、待ってくれないか?」

「でも、これ以上待つの私は嫌だよ!」

「本当にあともう少しだけ待ってくれ、俺の気持ちの整理がついてから、そして俺の口から言いたいんだ」

「・・・約束だからね?」

「あぁ、約束だ」

「えへへ、それじゃあもう少しだけ待ってあげる!」

「おう。お、花火上がってるぞ」

「うわ〜!綺麗」

「だな」


クリスマスツリーのイルミネーションの上で打ち上がる花火、それを見ている二人の距離はいつもと変わらないけど、ちょっと変わったようにも感じていた。

お読みいただきありがとうございました。今年の投稿はこれが最後になります。

また来年も頑張りますので応援よろしくお願いいたします。

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