第54話 破天荒な冬
ここ最近一気に冷えてきて布団から出る気が日が経つにつれて無くなってくる。
そして今日も布団の中であったかい思いをしながら寝ていると突然腹にダメージが入った。
正確には布団の上から思いっきり肘を落とされた。
少し咳き込んだ後布団から出るとそこには誰もいなかった。
おかしい、俺は確実に腹にダメージを感じた。まだどこかに犯人がいるかもしれない。
そう思い部屋を探し回った。タンスの中が一番可能性が高いと思っていた。
タンスの中によく入る愉快な人もいるからな。しかし、今回は誰もいなかった。
一体どこにいるんだろうか、机の下か?いや、いないな。
ふと、ベットの下を覗いてみた。すると赤く光る目と目が合ってしまった。
「う、うわぁ!!!!」
「ち、ちょっと優さん。落ち着いてください。私です私」
「な、なんだ燐かよ。というか何でベットの下にいた」
「そ、それはですね、あの、いつも通り部屋に来たら転んでしまって」
「おい待て、今いつも通り部屋に来てって言ってたけどまさか毎日来てるとかじゃないよな?」
「いえ、行ってますよ?」
「そこは隠さないんだな・・・」
「えぇ、隠しても何もありませんし」
「はぁ、まあいいよ。それで?」
「あ、はい。そうしたら優さんのお腹にエルボーが入ってしまって」
「それでとっさに隠れたのか」
「そんな感じです」
「まぁとりあえず今度からは気をつけてくれよ。それじゃ、俺は寝るから」
「ダメですよ、今日は学校があります。どのみち最後なんですから、早く行きますよ」
「わかったよ」
朝食を食べに下に降りると珍しく玲狐がいた。
既に食べ終えているようでお茶を飲んでいる。
「あ、優くん!おはよう!!」
「・・・おはよう。なぜいる」
「そうですよ、なぜいるのですか」
「お前が言うな」
「すみません」
「えっと、何でだろうね」
「・・・まぁ、いいや俺も飯食べるから待っててくれ」
「はーい」
朝食のサンドウィッチを数分で食べ終え、学校へ向かった。
登校するときも肌寒かった。マフラーを持って来ておいて正解だったな。
行く前に姉さんから手渡されたのだが、所々ほつれていた。
どうやら美玖が一昨日から作っていて昨日の夜にやっと完成したみたいだ。
美玖は俺たちより少し早く冬休みに入っていたので夜遅くまで頑張っていてくれたみたいだ。
今日は帰りに何か買って行ってやるか。
学校に着くとそのままホームルームが始まった。
内容は冬休みに関してのことと注意点のみ。
それが終わるとみんな帰る準備を始めていた。
もともと今日は授業もなくホームルームだけだった。
学校を出ると雪が降っていた。
もう冬か、あっという間だな。いろいろあったけどなんだかんだで楽しかったしな。
冬休みに何をしようかワクワクしながら考えているときに玲狐に肩を叩かれた
「優くん!!みんなでまた出かけない?」
「おぉ、そりゃいいな」
「そ、それなら私の知り合いが経営している旅館に行きませんか?」
「いいねいいね!!」
「そうと決まればいろんな人呼んでおくか」
「温泉は!?」
「あ、はい。いろいろとありますよ」
「ほんと!?楽しみだね、燐ちゃん!!」
「えぇ、そうね。温泉、楽しみだわ」
「そ、それでは私が連絡を入れておきますので。き、決まったらまたご連絡しますね」
「うん、よろしく!それじゃあね〜」
「おう、またな」
「また今度」
こうして俺達も冬休みに突入した。
玲狐が帰り際に何かを企んでいたことも知らずに・・・
お読みいただきありがとうございました。ご意見ご感想などもお待ちしております




